大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Gelsinger氏の復帰で期待が高まる“古き良きIntelへの回帰”(3/3 ページ)
どうも外から見ている限り、ここ数年は10nmの不調や7nmの遅延などの要因により、Intel社内でも使えるプロセスの奪い合いになっている感が強い。あるいは場当たり的な買収や、突然の製品計画変更など、何かしら問題が発生するたびに慌てて対策をするものの、それがさらに穴を広げる的なドタバタ状態に陥っているように見受けられる。恐らくだが、Gelsinger氏はあらためてHigh Output Management(Grove氏の経営方針:著作のタイトルとしても有名)に基づいた社内運営の徹底を図る事になるかと思う。多分これの徹底には、数年を要するだろう。
これと並行して、戦略の見直しが当然行われることになる。そもそもGelsinger氏の冒頭のあいさつが
As you've heard, Intel has been in the midst of a major transformation to strengthen our CPU franchise, while evolving into a multi-architecture XPU company.(ご存じの通り、IntelはCPU専業メーカーからマルチアーキテクチャのXPU企業への変革の途中である)
と述べていることからも、CPU・GPU・FPGA(と恐らくeASIC)、それとNPUに関しては、細かい部分はともかくとして大筋では既存の戦略の延長にあるかと思う。
その一方で、最初にやり玉に上がりそうなのがMobileyeである。事業部として黒字になっている、という意味では評価できるものの、今もってIntelの他の製品との相乗効果はほとんど得られていないし、今後得られるかどうかも怪しい(現時点ではEyeQ 6の詳細が明らかにされていないので何とも言えないが、そもそもEyeQ 6は2024~2025年の投入予定だから、仮にIntelベースのアーキテクチャにする予定だとしても、この後見直しは入るだろう)。2019年にやはりIntelが買収したmoovitと一緒にして外部にスピンアウトしても不思議ではない。
同様にInterconnectに関しても見直しが入りそうだ。ここ10年ほど、IntelはコロコロとInterconnectを作っては捨て、買っては捨てを繰り返してきていた。直近で言えば2019年にBarefoot Networkを買収してEthernetベースのInterconnectを構築するのが現時点での戦略になっているが、そろそろ「Interconnectを自社で抱えた方がいいのかどうか」を考え直す時期に来ていると思う。
CPUやGPU、FPGAなどについても検討し直しは当然入る(特に2023年以降の製品)だろうし、AIに関しても(Nervanaはもう捨ててしまったが)MovidiusとHabana Labsという全く異なるアーキテクチャを引き続き両方サポートしていくのか、一本化していくのかをそろそろ明確にすべき時期であろう。
そして一番の懸案事項は、Fabをどうするかである。質疑応答の中で、引き続きIDMのビジネスモデルを維持していく事を明らかにはしたものの、あまりにIDMのモデルに縛られた結果、新プロセスがコケる=新製品が出なくなる、が続いた事がこの10年あまりのIntelの不調の最大の要因であることは疑う余地がない。事業部よりももう少し上のレベルで、FabとProduct部門を分離した方がいいようにも思われるのだが、このあたりに対してどういう方針をGelsinger氏が示すのか、が最も興味ある点である。
Intelの立て直しは決して容易ではない。果たしてGelsinger氏はこれに成功するだろうか?
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