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» 2020年01月09日 10時00分 公開

組み込みエンジニアの現場力養成演習ドリル(23):スマホで極秘通信するには? 米高官が使った「簡単なのにバレない」情報の送受信法 (1/3)

今回は、8年前、アメリカで実際に起きた有名なスキャンダルを題材に、スマートフォンで極秘に通信する“簡単な方法”を考えてもらいます。

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士),TechFactory]

はじめに

 新年、明けましておめでとうございます。令和初のお正月をいかがおすごしでしたか? 筆者の子供のころのテレビのお正月番組では、初笑いとして寄席中継が定番。演芸場では、漫才、落語のほか、マジックや手品も登場しました。

 トランプの絵札が一瞬で変わるマジックに、子どもころは、「タネはあるんだろうが、どうやっているんだろう?」ととても不思議に思いました。大人になって、「マジックのタネ明かし」の書籍や動画を見ると、古典的なマジックのタネが細かく書いてあり、それを見て、「なるほどね」と感心したものです。また、「タネが分かっても、自然の流れの中で鮮やかに演じるのは、相当の練習が必要」とも思いました。

 トッププロのマジックを見るたびに、「トランプの背中の模様が一瞬で変わる不思議な現象から、ネタを探り出すのがデバッグである」と思います(トランプの背中の模様が赤から一瞬で青になるマジックは「トライアンフ」と呼ぶ有名なワザです)。これは、マジックに精通していないと(いろいろなバグを経験していないと)、なかなか分かりません。特に、ソフトウェア開発の最終段階に出るバグは、複雑怪奇な動きをします。この不思議な動作から、バグの原因を見つけるのは本当に、大変ですね。ただし、デバッグの場合、動作環境やデータの値をいろいろ変えて、動作の違いを見ることができるのは、大きなアドバンテージです。マジックなら、「右手だけでやってください」「ジャケットの袖に別のカードを隠している可能性があるので、上着を脱いで、Tシャツ姿で演じてください」と注文を付けて演じてもらうようなものです。

 とはいえ、「不思議なマジックをみて、タネを推理する」というデバッグの神髄は変わりません。今回は、8年前、アメリカで実際に起きた有名なスキャンダルを題材に、「タネ」を探っていただきます。

 実話は非常に複雑なので、カギになる部分だけを抽出して、以下の問題にしました。

問題(制限時間:30分)

 1000km離れて別々にいる2人がある犯罪を共同で犯しました。その2人はスマートフォンを1台ずつ持っていました。

 この2人を内偵していた捜査当局は、2人を現行犯で逮捕し、家宅捜査で証拠品を押収しました。その中に、スマートフォンが含まれていました。

 「スマートフォンで情報をやり取りしていたに違いない」とにらんだ捜査本部は、両者のスマートフォンの通話記録、送受信したメールの内容、メッセージアプリの履歴など、内容を細かく調べました。また、通信事業者にも問い合わせましたが、音声通話、パケット通信など、すべてのデータ送受信量はゼロ。2人は基本料金しか払っていませんでした。

 しかし実際には、2人は、このスマートフォンで情報のやり取りをしていました。

 この2人の情報伝達方法を推理してください。

【ヒント】
 データ通信の高度な技術を知っている必要はありません。中学生でも簡単に理解、適用できる方法です。

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