「自動化(Automation)」によるモノづくり現場の革新に注力してきたパナソニックが、これまでとは異なる方向性のロボット開発を目指し、共創型イノベーション拠点「Robotics Hub」を開設した。その狙いと“自動化”の次に見据えるパナソニックのロボティクスビジョンとはどのようなものか。
「自動化(Automation)」によるモノづくり現場の革新に注力してきたパナソニックが、これまでとは異なる方向性のロボット開発を目指し、取り組みを加速させようとしている。
長年培ってきた“Automation”の次の価値提供領域として同社が選択したのは、「自己拡張(Augmentation)」だ。文字通り、人間が本来持っている能力をロボット技術で拡張することを意味し、AutomationとこのAugmentationの実現により、近い将来訪れる「人生100年時代」をより豊かなものにすることを目指す。
「パナソニックは実装機や溶接システムなど、これまでモノづくりの世界で自動化、機械化の実現に向けて努力し続け、モノをより早く、正確に、品質良く作ることに注力してきた。当然、ここでの進化の手を緩めるつもりはないが、次に目指すものとして、われわれはAutomationとは異なるロボティクスのコンセプトを作りたいと考えた。それがAugmentationだ」と、パナソニック 執行役員 生産革新担当 兼 マニュファクチャリングイノベーション本部長の小川立夫氏は説明する。
パナソニックが新たに目指す“Augmentation”を実現するロボットの方向性は2つある。1つは、最先端のメカトロ技術で人間の能力や動作の性能などを向上させる「Enlarge」。もう1つは、人間を理解する技術を高め、感覚や感情につなぎ込む「Enrich」である。「自分自身が高齢者になったとき、全てのことをロボットにしてもらうことが人生の幸福につながるかといえばそうではない。自分で歩ける、料理ができる、トイレに行けるなど、自分がやれることが増えること、そして、その結果誰かの役に立っていると実感できることが幸福につながる。そのような生活を技術の面からサポートしていきたい」と、小川氏はこの取り組みの意義を述べる。
以降、2019年1月25日に行われたパナソニック 技術セミナーの内容を基に、この取り組みを加速させるためのパナソニックの戦略と、“Automation”と“Augmentation”の実現で目指そうとする同社のロボティクスビジョンについて解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
豊富なホワイトペーパーの中から、製品・サービス導入の検討に役立つ技術情報や導入事例などを簡単に入手できます。