ANSYSとの業務提携の発表に続き、ジェネレーティブデザイン技術を有するFrustumの買収を発表したPTCは、ハイエンド3D CAD「Creo」による設計プロセスの変革を加速させようとしている。提携、買収といった一連の流れが意味するものとは何か。
構想(コンセプト)や設計といったモノづくりプロセスの上流において、シミュレーション技術を活用し、設計品質を向上させ、試作回数の低減や後工程からの手戻りを削減するといったアプローチの重要性は以前から叫ばれてきた。
しかし、設計段階においてCAEツールを活用したシミュレーションを実行しようとすると、CADで設計したモデルを解析向けに簡略化(穴埋めやフィレットの除去など)し、メッシュを切ってから実行する必要があるため、解析のためのデータ変換に大きな手間がかかっていた。さらに、大規模モデルなどを解析にかけると、結果を得るまでに膨大な時間を要するため、“解析結果を基にした設計の見直し”という反復作業がしづらいという状況がネックとなり、構想および設計段階におけるシミュレーションの活用は思うように進んでいないのが実情だった。
こうした状況に対し、ハイエンド3D CAD「Creo」を展開するPTCは、設計プロセス全体におけるシミュレーション技術の活用に対し、研究開発、業務提携、買収などを積極的に行い、Creoの拡充を急速に進めている。最近の動きとしては、2018年6月に発表したANSYS(アンシス)との業務提携、そして2018年11月にアナウンスのあったFrustum(フラスタム)の買収がそれを象徴している(関連記事:PTCがジェネレーティブデザイン技術のFrustumを買収、Creoのポートフォリオを強化)。
これら業務提携、買収によりCreoを用いた設計プロセスがどのように変わるのか? 米PTC CTO室 マネージングディレクターを務めるスティーブ・ダーティン氏を招き行われた説明会の内容を基に、PTCが目指そうとしている設計プロセス変革のビジョンについて考えてみたい。
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まず、PTCは設計プロセスについて、形状を作り出す「生成」、その形状をより良くするための「反復」、そしてそこから導き出された形状を基にした高度な「検証」の3つのフェーズで捉え、それぞれのフェーズにおいてキーとなるテクノロジーおよびソリューションを戦略的に強化している。こうした戦略において、先の業務提携や買収がどう当てはまっていくのだろうか。
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