大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
勢いづく7nmプロセスへの移行、多くのベンダーが殺到する理由はどこにあるのか(2/3 ページ)
なぜ7nmに移行するのか?
そもそも、なぜ7nmに移行するのか? といえば、既存の16~12nm世代のプロセスでは、そろそろ性能が頭打ちになってきたためだ。既に主要半導体ベンダーは、アプリケーションプロセッサを16~12nm世代に移行し切ってしまった。ファウンダリの側も、16/14nmよりも安価に製造が可能なローコスト版の12nmプロセスを提供開始しており、厳密にいえば多少性能は落ちるものの、14/16nmの高速版に比べてさして見劣りしない(AMDの「Ryzen」やIBMの「POWER」のように、3~4GHz以上で動作するプロセッサはともかく、動作周波数が2GHz台のモバイル向けSoCであれば、ほとんど性能差はない)上に、当初よりも安価に製造が可能になっている。
結果、各社の製品が性能面ではほぼ横並びになってしまい、製品の差別化が難しくなっている。だからといって、動作周波数を引き上げると消費電力が急増して、製品としての利用が難しくなる。であれば、必然的に機能を増やすしかない。ちょっと前のスマートフォン向けSoCがISP(Image Signal Processor:カメラの映像処理を行うコプロセッサ)の機能や動画のエンコード/デコード機能を大幅に強化し、最近だとCNN/DNN用のコプロセッサを相次いで搭載、強化している理由は、このあたりにある。また、コアの数を増やすのも有用で、特にGPUに関してはコア数と描画性能がほぼ比例関係にあるため、コア数が増えるほど、性能も向上する。
問題は、こうした機能追加はダイサイズの増加につながり、それがコスト上昇に直結することだ。従来であれば、より微細化したプロセスに移行することで、このダイサイズの増加分を吸収できたが、これは“プロセスを微細化してもウェハの製造コストが変わらない”という前提での話である。ところが、16/14nm世代から7nm世代に移行すると、ラフに言ってウェハ製造コストがほぼ2倍になる。つまり、ダイサイズを半分以下にしないとコスト的に割に合わない計算となる。製造コストだけを考えると、7nmに移行してもダイサイズの増加を吸収できなくなってしまうというわけだ。
加えて、初期コスト(設計に要するコスト+マスク製造のコスト)も高騰する。ある試算では、16/14nmノードの初期コストはおおむね1億ドル程度とされるが、これが7nmだと3億ドル程度まで跳ね上がる。製造原価が上昇する上に初期コストまで高騰するとなると、二の足を踏むのも無理はない。このあたりを勘案してか、ファウンダリ各社は中間の10nm世代も提供したものの、こちらはトランジスタ密度の向上も中途半端で、また性能もあまり上がらない(しかも、初期コストは1.5倍以上になる)ためか、採用事例が少ない。
ちなみに、これがEUVになると、7nm世代でもシングルパターニングで済むようになるので、製造コストは1.5倍、初期コストも若干下がるとされる。ただ、現状はTSMC、Samsungとも、EUVに関してはまだRisk Productionを開始したばかりで、量産開始までは今しばらく時間がかかる。EUVはEUVで問題があり、製造のスループットがDUV+液浸と同等になるのは相当先になると見られている。つまり、EUVを本命と据えるのはいいが、需要に生産が追い付かない状態が当分続きそうな風情である。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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