大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
勢いづく7nmプロセスへの移行、多くのベンダーが殺到する理由はどこにあるのか(3/3 ページ)
「7nmに移行できたメーカー」と「できなかったメーカー」と呼ばれる時代
というわけで、7nm世代への移行は長いこと足踏みが続いていたわけだが、ここに来て相次いで量産を開始したというのは、さすがにこれ以上足踏みをすると差別化がさらに難しくなってしまうこともさることながら、7nmプロセスを利用することで、コスト上昇に見合う価値を見いだすめどが立った、ということでもあるだろう。
例えば、Broadcomの場合、400G PHYを7nmで製造することで、16nm製品と比べてポート当たり4Wの削減が可能になったとする。たった4Wというなかれ。スイッチ1台当たりでいえば100W近く、サーバラック1台当たりでいえば数百Wの削減になる。初期コストよりもTCO(主に消費電力と冷却コスト)が重視される世界では、これは大きな武器になる。
あるいは、AMDのEPYC“Rome”。7nmに移行することで、CPUコアの数を倍増することに成功している。当然、これは性能の大幅な増強につながるわけだ。気になる価格面だが、EPYCは14nmから7nmに移行するに当たり、CPUコアだけを7nmに移行させ、I/O類は引き続き14nmで製造し、MCMパッケージで提供するというハイブリッド構成にしたことで、価格の増加を最小限に抑えている。AppleやHuawai、QualcommはいずれもCNN/DNNアクセラレータの大幅な強化やGPUの強化などを大きくアピールしているといった具合だ。逆に言うと、7nm移行に立ちふさがる「価格の壁」を乗り越えられたメーカーが、そのコストに見合う収穫を得るための戦いを11月あたりから始めつつある、という時期に感じられた。
では、7nmに移行しないメーカーは? というと、収穫を得るための戦いに参加すらさせてもらえない状況、ということになる。おそらく2019年に入ると、7nmへの移行を表明するメーカーはゆっくりとではあるが増えていくだろう。ただ、先行するメーカーに追い付いて戦うことができるのか、というとこれは難しい。
もちろん、同じ土俵で戦わないという選択肢もあるわけで、FD-SOIに移行するとか、既存の16/14nmをしゃぶり尽くすとか、戦略は幾つか考えられる。そうしたことも含めて、ファウンダリに続きメーカーにとってもまた淘汰(とうた)の時代がやってくるのかもしれない。7nmに移行できたメーカーとできなかったメーカー、そんなふうに呼ばれる時代が来そうな気がする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
2
機械・電気設計の連携はなぜうまくいかない? 手戻りを防ぐ協調設計の進め方
-
3
Waymoの自動運転技術に迫る
-
4
ものづくり白書2026を読み解く
-
5
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
6
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
8
OTセキュリティ実態調査2026
-
9
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
10
食品工場での異物混入ゼロを目指す「しつけ」戦略とは?
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー