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» 2018年07月03日 09時00分 公開

「XVL」は3D軽量ビュワーから製造業のデジタル変革基盤へと飛躍する超速解説 XVL(2/2 ページ)

[下平龍平/ラティス・テクノロジー,TechFactory]
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XVLパイプライン――XVLにより実現する真のPLM

 設計、製造、保守、サービスに至るまで共通のデータを管理して、全体最適を図るというのは、XVLが誕生する以前より存在しているPLMのコンセプトである。しかし、現実を見てみると、PLMの中核である3D CADは設計の道具であり、PLMは設計のための情報管理システムとなり、蓄積された設計情報はPLMを超えることができず、設計部門に囲い込まれているというのが日本の製造業の実態である。

 XVLにより、試作、生産技術、製造、サービスといった後工程の部門にまで3Dデータが行き渡ることで、共通のデータを管理し、全体最適を図るというコンセプトがついに実現することとなった。このXVLを各プロセスに流通させ、共有する仕組みはXVLパイプラインと呼ばれている。

 XVLパイプラインは、社内で3Dデータを流通、利用するための仕組みであったが、この仕組みを社外にも伸ばして社外向けのビジネスに生かそうという動きも徐々に広がってきている。

 一例を挙げると、パーツカタログ作成へのXVL適用がある。部品情報を掲載したパーツカタログの構築は、保守部門の収益性の鍵となっている。そのパーツカタログ作成にXVLを用いることで、データ作成の手間を大幅に軽減できる。また、PCやタブレットといった端末に依存することなく、Webブラウザでパーツの3Dモデルおよび付帯する情報を見せることで、パーツカタログを利用するディーラやユーザーの利便性やロイヤリティーを高めることができる。

拡大し、重要度を増すXVLパイプライン 図4 拡大し、重要度を増すXVLパイプライン

3Dモデルを制御ソフトでコントロール――メカトロ検証ソリューション

 製品をタイムリーに市場に出すことが強く求められる中、生産設備をいかに短期間に立ち上げるかというテーマが重要性を増している。その中で高い注目を集めているのが、XVLに機構モデルを埋め込み、動的なシミュレーションを可能にし、さらに、その3Dモデルを制御ソフトウェアで稼働させることで、実機完成前に生産設備のデジタル検証を可能にするメカトロ検証ソリューション「Vmech」である。

 近年の生産設備は、製品が変わっても柔軟に対応できるようにPLCという産業用コントローラーで制御されているものが増えている。PLCは年々高機能化しており、多数の機器を制御できる半面、制御プログラムも大規模化し、プログラムの検証も難しさを増している。

 生産設備は、メカとメカを動かすソフトウェアで成り立つ。言い換えるとメカ設計部門とソフトウェア開発部門の共同作業の上に成り立っているが、Vmechはこの両部門に対して、以下のようなメリットをもたらす。

  • メカ設計部門のメリット:
     ⇒XVLに機構データを付け、タイミングチャートで動かすことで、干渉の有無をチェックして、設計品質を向上させる
  • ソフトウェア開発部門のメリット:
     ⇒XVLのモデルを動かすことで、実機完成を待たずして、ソフトウェアのデバッグを前倒しで行える

 Vmechを利用することで、作業をコンカレント化、発生する問題を早期に解決し、実機デバッグ期間を短縮できることから、生産設備の短期立ち上げが可能となる。

3Dデジタルツインを実現 メカトロ検証ソリューション 図5 3Dデジタルツインを実現 メカトロ検証ソリューション
XVLとは?

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3Dデジタルツイン――XVLが映し出す未来

 第4次産業革命、そしてSociety 5.0を目指す今、製造業をデジタル化しようという動きに反対する人はいないだろう。ここまでの話は、設計部門のCADデータを後工程で活用しようという、いわば「設計からの現場のデジタル革新」であった。この変革に取り組んできた企業では、製造現場までXVLという設計の意図する3Dモデルが流通するようになってきている。3Dのデジタルツイン、まさに現物の双子のデジタルモデルが現場に存在するのである。


 一方、「IoT(Internet of Things)でモノづくり改革だ」という掛け声の下、製造現場には多くのセンサーが取り付けられ、膨大な現物データが蓄積されている。実際に現場を訪れてみると、IoTを導入済みだという話はよく聞くが、それで成果を上げたという話は乏しい。集積するビッグデータを前に立ちすくんでしまっているのだ。

 このビッグデータを使って、現地現物を見ているだけでは気付かない“隠れた問題”を見える化できないだろうか。設計からの3DモデルにIoTのビッグデータをカラーでマッピングすることで、解が得られつつある。この3Dデジタルツインの考え方によって、「現場からの“設計のデジタル革新”」が実現できるはずである。これについての詳細は、別の機会を設けて紹介したい。

 古くからXVLを知る人の中には、誕生当初の“XVL=3Dの軽量ビュワー”という認識で時間が止まってしまっている方々も少なくない。しかし、XVLは初期の軽量CADビュワーから、製造業のさまざまな部門に3Dのメリットを広める情報基盤XVLパイプラインへと飛躍を遂げてきた。

 軽量3Dで3D CADの設計情報を忠実に伝えるフォーマットであったXVLは、今やメカCADでは表現できない、エレキ情報、組み立て手順、点群といった情報をも包含し、さらにその上には多様なソリューション群が提供されるようになったのである。本稿をきっかけに、XVLの進化、今後の可能性をあらためて感じていただければ幸いだ。


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