exiii|開発者インタビュー
VR体験の物足りなさを解消する、触覚ウェアラブルデバイス「EXOS」が目指す世界(2/3 ページ)
VR向け触覚ウェアラブルデバイスのデファクトを狙う
――VR向け触覚ウェアラブルデバイス開発におけるexiiiの優位性は?
山浦氏 触覚ウェアラブルデバイスの開発は、メカ、エレキ、ソフトのいずれの面においてもハードルが非常に高い。手に装着して関節や筋肉を動かすため、可動部も多く、安全面など、設置型の家電製品と比較しても非常に気を使わなければならない。また、バーチャルオブジェクトの物質の硬さ/柔らかさも再現する必要があるため、高いレベルのモーター制御技術が求められる。さらに、触覚は視覚以上にフレームレートがシビアであるため、高速通信も実現しなければならない。“全部が難しい”という状況の中、筋電義手開発の知見やノウハウを生かしつつ、持ち前の技術力でしっかりと実現できている点がexiiiの強みといえる。
――競合の存在、競合に対する強みは?
山浦氏 実は、触覚ウェアラブルデバイスを手掛ける企業は国内外で数社しかいない。触覚には、皮膚で感じる触覚と、関節や筋肉で感じる深部の触覚があるが、各社アプローチが異なっている。われわれの競合に当たる企業は、グローブを装着して振動刺激を与えるもの、空気圧を使って皮膚を圧迫するもの、電気刺激を使って筋肉を動かすものなどを採用しているが、いずれも皮膚で感じる触覚と深部の触覚の双方を再現するものではなく、実際に触れた感覚に近いとはいいがたい。それに対し、われわれが採用する関節駆動の方式では、モーターで関節および筋肉を動かしているので、力がかかっていることが伝わり、皮膚にもその圧迫が刺激として伝わる。グリッパーを用いて、バーチャル世界の小さなオブジェクトをつかんでみると、実際にモノをつかんでいるときと同じように、指先に圧迫感が伝わりつつ、指の根本で力が入っていることが感じられる。
――「EXOS」は従来のモックアップによるデザインレビューからの置き換えを狙っているのか?
山浦氏 当然、3Dプリンタなどでデータを物質化して、リアルな質感のモックアップを用いた方が現実に近いデザインレビューが行える。しかし、プロジェクトによっては、3Dプリンタでモックアップを作る工数が取れるのか? そのような時間があるのか? という課題がある。そのような制約がある中で、3Dデータさえあれば“VR×触覚”でデザインレビューができてしまうというのがEXOSのウリである。ただ、従来のモックアップによる検証がなくなるとは考えておらず、その前段階で品質を高めるために活用してもらいたい。よって、置き換えを狙うものではなく、すみ分けて使ってもらうイメージだ。
金子氏 サイズという観点でいえば、小さなものであれば3Dプリンタで出力してしまった方がよいケースもあるだろう。ただし、自動車などの大型のプロダクトではそうはいかない。実際のクレイモデルを作るとなると時間もコストもかかるため、そうなるとVRでデザインレビューをした方がよい。もちろん、完全に置き換わることはないだろうが、一発勝負でクレイモデルを作るとなったときに、EXOSで事前に検証を繰り返した上でクレイモデルを作った方が、ミスや失敗がはるかに少なくなるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(メカ設計)
「メカ設計」をメインテーマに、モノづくり関連セミナー/ワークショップのレポートや開発者インタビューなどを多数掲載。現場課題の解決や、さらなる成長に向けた第一歩を踏み出すためのヒントを提示します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界には好機 脱炭素×コスト削減×現場改善を実現するエネルギー戦略 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
スマート工場動向調査2026
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
3
ナフサショックの影響が分かる記事まとめ(Part1)
-
4
はじめての化学工学まとめ(Part1)
-
5
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
6
SiC・GaN時代のパワー半導体開発、信頼性評価と故障解析の課題にどう対応する?
-
7
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
8
Waymoの自動運転技術に迫る
-
9
【読者調査結果】製造業の脱炭素動向調査2026
-
10
ものづくり白書2026を読み解く
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー