宮田健の「セキュリティの道も一歩から」(19)
自社のセキュリティ対策、足りないものは何か? 「無料の教科書」で学ぶべし(2/2 ページ)
ここを押さえるといい! がまとまっている
そしてこのレポートで注目すべき点は、他の一般的な企業が知るべきポイントを、満遍なく押さえているということかもしれません。例えば「セキュリティ対策実施状況」の設問において、トレンドマイクロが聞いた設問項目が一覧になっています。実はこの設問項目自体が「本来企業が取るべき対策の実例」になっています。
皆さんの企業でもその多くが対策済みではないかと思いますが、もしかしたら完全に抜け落ちている項目もあるかもしれません。抜け、漏れを自覚できることが、セキュリティ対策の第一歩です。技術的、組織的にこれらが対策できているかのチェックリストにもなっているので、ぜひ活用しましょう。
もう1つ、チェックリストになりそうなものがありました。「セキュリティ関連法規制・ガイドライン理解度・対策反映度」のリストです。これはITセキュリティ、特に個人情報を取り扱うに当たり、日本、世界で利用されているガイドラインのリストに相当します。
これを見ると、さすがに「存在自体を知らない」という企業が多いことも分かります。中には全く関係ない業種向けのガイドラインも入っているからだと思いますが、「何も知らない」ことと「中身を確認して無関係であることを把握済み」とは大きな隔たりがあります。
特に気を付けたいのは、2016年4月に成立し、2018年5月からスタート予定の「EU一般データ保護規則(GDPR)」。EU圏に住む方の個人情報を取り扱う場合、この規則に準拠する必要があり、それに反すると厳しい罰則が待っています。もし、あなたの企業が「IoT」や「ビッグデータ」をキーワードに展開しようとしている場合、「知らなかった」とは言いにくいガイドラインです。その他のガイドラインについても、「知らなかった」から「聞いたことがある」としたいですね。
対策ができている組織に倣って、どのように自組織の対策を強化していくか
このレポートは、下記のような言葉で締められています。
セキュリティ対策においては、「自社と同業の他社がどのような対策を行っているのか」「自社と同規模の他社がどのような対策を行っているのか」「自社と同地域の他社がどのような対策を行っているのか」を気にする企業は多いのではないでしょうか。この調査結果は、業種、規模、地域別にみることができる一方で、横並びを推奨するものではありません。「自社に類似する他社と比較したときにどうか」といった評価を可能にするものである一方、このレポートは、「世の中での被害実情を受けて組織としてどう考えるか」「対策ができている組織に倣ってどのように自組織の対策を強化していくか」といった視点に立っていただく目的で公開しています。
特に標的型攻撃の多くは、企業をターゲットにすると同時に「同業他社」も狙われることが多いです。よって、まずは同業種の他社と比べて著しく対策が遅れないことが重要であると同時に、その現状をどう把握し、経営陣、IT管理者、現場が一体となって何ができるかという点を考えるきっかけになる資料ではないかと思います。ちょっとした空き時間など、このような資料の存在を思い出して、少しずつ読んでみることをオススメします。きっといろんな気付きを与えてくれるでしょう。
著者紹介:
宮田健(みやた たけし)
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追い掛けている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。現在、ITmediaエンタープライズにて、もはや誰もが人ごとではないITの課題や話題を紹介する「半径300メートルのIT」を連載中。また、それをまとめた書籍「デジタルの作法~1億総スマホ時代のセキュリティ講座」も発売中。
筆者より:TechFactoryでの本連載では、ITセキュリティの「あるべき論」「正論」だけでなく、モノづくりに携わる方たちに「気楽に」「楽しく」セキュリティを考えていただけるように、さまざまな話題を取り上げたいと思います。「セキュリティっていわれてもねえ……」と思わず考えてしまった皆さまに覚えていただけるようなコラムにしたいと思います。お楽しみに!
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宮田健の「セキュリティの道も一歩から」
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。でも堅苦しい内容はちょっと苦手……という方に向けて、今日から使えるセキュリティ雑学・ネタをお届けします。
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