ルネサス エレクトロニクスは、ヘルスケア/ウェアラブル機器などの充電を非接触で行うことができる「ワイヤレス充電ソリューション」を発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2016年9月、ヘルスケア/ウェアラブル機器などの充電を非接触で行うことができる「ワイヤレス充電ソリューション」を発表した。ワイヤレス充電に必要な機能を小型パッケージに集積した。小型・小電力機器で防水/防塵機能を必要とする用途に向ける。
ワイヤレス充電システムとしては、既にいくつかの規格が発表されている。しかし、これらのシステムはアンテナサイズの制限から小型化が難しく、充電流が大きいため放熱対策が必要となるなど、小型リチウムイオン二次電池を用いた小電力システムに搭載するには課題もあったという。
今回発表したワイヤレス充電ソリューションは、こうした課題を解決するために開発した製品で、受電IC「RAA457100」と送電IC「RAA458100」からなる。
RAA457100は、受電側アンテナコイルに励起した交流電力を直流に整流する同期整流回路や、リチウムイオン二次電池を充電するための制御回路などを内蔵した。ワイヤレス充電中は分解能が12ビットのA-Dコンバーターを用いて電池電圧や電流を高精度にモニターし、そのデータを送電側にフィードバックすることができる。
また、リチウムイオン二次電池に対する保護機能や、アプリケーションのシステム動作用電圧を生成するためのDC-DCコンバーターも内蔵した。このDC-DCコンバーターは、1mA程度の軽負荷動作時に電力効率85%を達成しており、二次電池の長時間使用が可能になるという。パッケージは41端子WLBGAで、外形寸法は3.22×2.77mmと小型である。
RAA458100は、ワイヤレス送電に必要となるブリッジ駆動回路や送電電力制御回路などを集積している。電源電圧は単一5Vで、携帯型電池などから電源を供給することもできる。パッケージは40端子UQFNで、外形寸法は5.0×5.0mmである。
非接触で電力を伝送する場合は、送電側アンテナコイルに125kHzの交流電流を印加し、受電側アンテナコイルに交流電力を励起させる仕組みが一般的である。RAA458100は、交流電流を印加するブリッジ回路を駆動し、受電側に最適な送電電力値となるよう制御することができる。I2Cインタフェースを介して外部EEPROMデータを読み取り、レジスタを書き換えることで、パラメーターの数値変更を可能とした。ブリッジ回路過電流保護機能や2系統の外部過熱保護機能なども搭載している。
さらに、ブリッジ回路を構成するパワーMOSFET「μPA2690T1R」も用意している。これらを組み合わせることで、送電電力に応じてハーフブリッジ、フルブリッジの回路構成を選択することができる。
ワイヤレス充電ソリューションは、2016年11月よりサンプル出荷を始める。さらに、パワーMOSFETなどを搭載した評価キットも用意していく。
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