大企業の上級役職者や経営企画室メンバーでもなければ、仕事で関わる機会がほとんどない戦略コンサルティング企業。でも、モノづくり業界の皆さんにも役立つ論考や調査レポートを、実はたくさん発信しているのです。そうした情報を筆者がピックアップして紹介する本連載。今回は、マッキンゼー・アンド・カンパニーが2016年3月に公開した「アドバンスド・アナリティクスで半導体業界を改善する」を取り上げます。
皆さんが普段、日々の仕事に役立てている社外の情報源には、どんなものがありますか? 大手メディアが報じるニュースや解説、専門家がブログで発信する記事に加えて、Googleで検索したり、書店に立ち寄ったり、セミナーに参加したりといろいろな情報源があります。さらに設計開発や製品企画などの業務を確実にうまくこなすには、専門書にまとめられたノウハウや、実務者のコミュニティーで共有されている知見が役に立つかもしれません。
でも、自社が手掛ける事業に変革が必要だと感じたり、上司からその考察や検討を頼まれたりしたときはどうでしょう? 日々の業務を遂行するときとは少し違った情報やアイデアが必要になってきます。
そこで参考になるのが、戦略コンサルティング会社が自社のWebサイトなどで無償公開している論考や調査レポートです。彼らは、依頼主の依頼を受けて、その事業や組織を変革するシナリオを描くことを生業(なりわい)にしています。そんな彼らが特定の業界や業務組織に向けて発信する情報には、他の情報源にはない貴重な示唆が盛り込まれています。もちろん、皆さんが求める「答え」そのものが書いてあるわけではありません。ですが、変革を起動する初期のインプット情報としては、きっと役に立つはずです。
ただ、日本で普段の仕事を忙しくこなしている中では、そうした論考やレポートを目にする機会はそれほど多くないと思います。それに世界的な戦略コンサルティング会社の多くは欧米企業であり、英語での情報発信が主体なので、ほとんど日本語化されていないという実情に加えて、皆さんの側にも「戦略コンサル? 彼らは机上の空論を振りかざすだけだろう。参考にもならないよ」という気持ちがあり、意識が向きにくいのかもしれません。
そこで本連載では、かつて製造業界にエンジニアとして勤務し、現在は外資コンサルティング会社に所属する筆者が、モノづくり業界の皆さんに向けて、変革のヒントとして読んでもらいたい論考やレポートを紹介していきたいと思います。記念すべき連載第1回では、半導体業界に向けた高度なデータ分析活用の提言を読み解きます。
でもその前に、もう少し筆者の考えをお話しさせてください。
アイティメディアの独自調査レポートをはじめ、市場調査会社から発表される報告書、レポート記事などを紹介します(特集ページはこちら)。
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