ルネサス エレクトロニクスは、3Dグラフィックスなどの高度な画像処理機能を用いるメータークラスタ向けのSoC(System on Chip)「R-Car D1」を開発したと発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2016年2月16日、3Dグラフィックスなどの高度な画像処理機能を用いるメータークラスタ向けのSoC(System on Chip)である「R-Car D1」を開発したと発表した。同日からサンプル出荷を始める。サンプル価格は5000円。2017年3月から量産を始め、2018年3月には月産10万個を計画している。
R-Car D1は、スーパーカーや高級車を中心に採用が拡大している、大型/高解像の液晶ディスプレイを用いるとともにアナログメーターを持たないメータークラスタ向けの製品である。スーパーカーや高級車にふさわしいリッチな3Dグラフィックス表示を行う機能や、ドアオープンやアクセサリ起動と同時にメータークラスタの表示を行う高速起動機能、などを搭載している。
CPUのプロセッサコアはARMの「Cortex-A7」、2Dグラフィックスを処理するGPUはルネサス独自の「GPU2D render core」、3Dグラフィックスを処理するGPUはImagination Technologiesの「SGX540」を採用した。シングルコアのCortex-A7を動作周波数660MHzで、2Dと3DのGPUを動作周波数260MHzで動作させる品種と、デュアルコアのCortex-A7を動作周波数780MHzで、2Dと3DのGPUを動作周波数330MHzで動作させる品種がある。最大表示画面サイズは4096×2048画素。車載LANのインタフェースは、CAN/CAN FD、MOST、車載イーサネットであるEthernet AVBに対応している。
R-Car D1の機能は、CPUやGPUだけを見れば、普及価格帯の車載情報機器向けSoCである「R-Car E2」とほぼ変わらない。
ルネサスがR-Car D1の最大の特徴とするのが、170社以上が参加する「R-Carファミリ」の開発コミュニティー・R-Carコンソーシアムのエコシステムだ。グラフィックスデザイナーがデザインしたUI(ユーザーインタフェース)を、R-Car D1を用いる全面デジタルディスプレイのメータークラスタにそのまま反映できるので、3Dグラフィックスに関する開発経験が少なくても短期間で開発を完了できるとしている。高速起動機能も、R-Carコンソーシアムのパートナー企業の製品により容易に実現できるという。
速度など自動車の走る/曲がる/止まると関わりの深い情報を表示するメータークラスタは、自動車向け機能安全規格であるISO 26262で高い安全要求レベルを求められる。この課題については、ルネサス独自の「機能安全サポートプログラム」で対応する。外部からのハッキングに対しても、車載マイコン「RH850」との組み合わせで高いレベルのセキュリティを実現できるとしている。
R-Car D1の2DグラフィックスのGPUは、アナログメーターと中小型ディスプレイを組み合わせたメータークラスタ向けに展開している車載マイコン「RH850/D1M」と同じだ。このため、RH850/D1Mを用いる既存のメータークラスタの2Dグラフィックス開発資産を、新たに開発する3Dグラフィックスのメータークラスタに生かすこともできる。
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