大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Intelの復活プラン(4/5 ページ)
Mobileye(図10)に関しては、マーケットそのものがまだ大きくない&IPOの意向ということで、売上目標などは掲げられていない。とはいえ、こちらは業績として順調なだけに、当然より高い売り上げが期待されているようだ。
そして大きな原動力としてGelsinger氏が期待しているのは、IFS(Intel Foundry Service)である。直前までIFSの売り上げは、そう大きく成長はしない(図11)とされていたが、このInvestor Meeting直前の2022年2月15日にTower Semiconductorを買収したことで、話が一変した(図12)。
表向きの理由は、Towerの買収によってAnalog/Mixed Signal/MEMSなど幅広いラインアップを提供できるようになる、というものだ。ただこれは事実だが、逆に相乗効果は全く望めない。強いていうなら、例えばこれまでIntelは自社のPMIC(Enpirionシリーズ:これはもともとAlteraが提供していたものだが、これも元は2001年にBell Labの出身者によって設立されたEnpirion SemiconductorをAlteraが買収し、そのままAlteraのラインアップとして提供されていたものだ)の製造をTower Semiconductorに委託しており、これが社内の製造でできるようになったのでコストが抑えられたという程度だろうか?実際プロセスも違うしWaferも違う(IntelのFabはほとんどが300mmに移行している。一方Towerの方はほとんど200mmのままで、Tower子会社であるTPSCoの魚津工場、旧Panasonic SemiconductorのFabが唯一300mm Waferでの製造である)となると、資材調達の一本化などもそれほど効果は大きくない。
ではどこにメリットがあるか? 1つ目は、Tower SemiconductorがDoD(米国防省)のDMEA(Defense MicroElectronics Activity) Category 1A&1B Trusted Supplierとして認定されている(正確に言えばTowerの前身であるTowerJazzの片割れであるJazz Semiconductorが2013年にDMEAの認定を取得している)ことだ。ご存じの通り、昨今米国では軍でも米国製の半導体を使ってシステムを構築したいとしており、Intelも当然ここに加わりたい訳だが、Towerの買収でこれが容易になる形だ。
2つ目のメリットとして考えられるのは、これでIFSに安定した収入が見込めるという点だ。Intel 3/18Aがそもそもうまく行けば問題ないが、ここで問題があって売り上げが立たない(かつての事業部になる前のIntel Foundry Serviceがまさにこれだった)場合、IFSの存在価値が問われかねない。ところがTowerの売り上げは現時点でも15億ドルほどある訳で、なので仮にIntel 3が遅延したりしても、それなりにIFSとしては売り上げが立っているというのはまだ言い訳がしやすい事になる。いわば、IFSの売り上げに下駄を履かせるためにTowerを買収したのではないか、と筆者は考えている。
そのIFSであるが、そもそもIntelは全ての先端プロセスでサービスをするつもりはない。現状ではまずIntel 16(14nmプロセスの自動車向けスペシャル版)が提供開始されているとしており、これに加えて2023年後半にIntel 3が、2024年後半にIntel 18Aが提供されるとしている。つまりIntel 7はもとよりIntel 4/20AもIntel社内利用のみで、外部に提供する予定はないという話だ。Intel 7は、正直言えばTSMCの16/12nmと同等のレベルであって、N7には及ばない程度だから、今からサービスを開始しても需要が見込めないのはまぁ理解できる。そしてIntel 3/18AはそれぞれIntel 4/20Aの改良版という事を考えると、まず社内向け製品にIntel 4/20Aを使って問題の洗い出しを早期に済ませ、これを改良したものをIFSとして顧客に提供するという方針そのものは堅実に見える。実際製品ロードマップ(図14)を見ると、Intel 3はXeon向けのみで、出荷数量の多いClientとかGPUはIntel 3を使わないというのは、要するにIFS向けにFoundryを開けていると考えられる。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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