大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
SonicBOOM/SiemensがUltraSoC買収/Intel去るJim Keller氏の次は?(2/3 ページ)
SiemensがUltraSoCを買収
2020年6月23日、Siemens AGがUltraSoCを買収したことが発表された。UltraSoCは英国ケンブリッジに拠点構えるIPベンダーだが、通常のSoC向けIPと異なり、ここはDebug用IPを専門に扱うメーカーである。同社の扱うIPはこんな感じ(図3)。
特にSoC向けに複数のIPを組み合わせるようなケースで、内部のバスの動きのモニターとか、個々のIPがちゃんと動いているか、なんてことを検証するのに必要なIPが各種取りそろえられている。デバッグ用IP、というのはもちろんProcessorベンダーも提供しており、例えばArmならCoreSightとかがこれに相当する訳だが、UltraSoCはCoreSightなどより広範な範囲で利用できる&より詳細なデータが取れるといった利点があり、加えてCoreSightと連携することも可能、ということでASICの開発には欠かせないものになっている。最近だとSoCは生産を始める前にシミュレーションで動作を確認することが一般的というか、動くことを確認してから生産に入らないと経費的に死んでしまうから、必ずシミュレーションで動作を確認することになるが、その際にも同社のIPが役に立つ形だ。そんな訳で、目立たないものの、結構広範に利用されている、いわば縁の下の力持ち的役割を同社はになっていた訳だ。
Siemensは今回の買収に伴い、同社の製品を含むテクノロジーを、Mentor GraphicsのTessent Product Suiteに統合する意向を示している。恐らくはLogic Testのラインアップの中に、UltraSoCのIPが加わる形で提供されていくと思われる。Siemensは2017年3月にMentor Graphicsを買収したが、その1年後に買収の効果を振り返った記事がこちらに上がっている。以前Armの関係者に「実はMentorは先端プロセスの設計においても依然として重要なポジションにある」という話を聞いたことがある。昨今だとCadence/Synopsysが二大EDAメーカーのようになっており、両社がFoundryの先端プロセス向けにEDA ToolやIPを争うように提供している現状ではあるが、ArmのようなIPベンダーからすると、Cadence/Synopsys向けというのはある意味Specialなのであって、その意味でMentorのツールでちゃんと動作するというのが、Standard製品であることを担保するのに役に立つという話であった。そして今回UltraSoCのポートフォリオを統合することで、さらにそのポジション強化の役に立つのかもしれない。
気になるのは、UltraSoCはCadenceやSynopsysとも協力関係を締結していることで、今後Cadence/Synopsysとの協力関係か切れる(UltraSoCの提供していたIPの代替品の調達/開発を大至急行う)のか、それともCadence/SysnopsysがMentorのTessentをサポートする方向に動くのか、現時点では読めないだけに、ちょっと興味深いものがある。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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