大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
茨の道が広がるMIPS/動き出したWi-Fi 6E/Armの物量戦(3/3 ページ)
ArmがFlexible Access for Startupsを発表
2019年7月、ArmはIPのSubscription Serviceとでもいうべき、Arm Flexible Accessを発表したが、これをさらに一歩進める形でスタートアップ企業向けにFlexible Access for Startupsを発表した。こちらの記事にもある通り、これはベンチャーキャピタルなどからの出資総額が500万ドル以下というスモールスタートアップ企業のみを対象としたもので、これに該当する企業は本当に初期費用0で、Flexible Accessを利用可能となっている。また同社は半導体ソリューションを手掛けるスタートアップに特化したインキュベータ企業であるSilicon Catalystともパートナーシップを結び、Silicon Catalystの投資対象となるスタートアップ企業がArmのIPやEDAツール、プロトタイプ製造までを全て無料で利用できるようにした。
これの狙いは明白にRISC-Vである。もっと具体的に言えば、SiFiveのDesignShareがその対象である。DesignShareはSiFiveのみならずパートナー企業(現時点で22社)の提供するIPもワンストップで入手できるサービスだが、これを利用してSoCを作る場合、ライセンス料の支払いが発生するのは量産からであり、設計とかプロトタイプ製造まではライセンス料が一切かからない。従来のArmのFlexible Accessはここにも書いたが、Entryで年額7万5000ドル、Standardで20万ドルのSubscription Feeが発生する。これは資金が500万ドル以下というSmall Startup(Armの用語ではEarly Stage)には確かに厳しい数字であり、実際SiFiveはこの初期費用が0というあたりで多くのStartupを集めている。これはArmにとっては見逃せない話であり、ここにぶつけてきた形だ。
何というか、そろそろArmとRISC-Vの戦いが物量戦の様相を呈してきた感はあるのだが、あまりこうした低価格ソリューションを打ち出しすぎると既存のライセンシーの反感を買う事になる訳で、このあたりのさじ加減にArmもいろいろ苦慮している様子が伺える。まあ結果としてSoC製造の初期コストが下がるのは悪い事ではないのだが。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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