組み込みエンジニアの現場力養成演習ドリル(17)
「岡山県」「福岡県」「福島県」を漢字1字でどう表す? ―― 都道府県名を1文字にコード化せよ(その2)(4/4 ページ)
第3問の解答
以下、いろいろな方法があります。
(1)平仮名やカタカナを使う
漢字にこだわらず、平仮名やカタカナも使う方式です。例えば、愛媛を「愛」ではなく「え」にするものです。愛知も愛媛も、「愛」を1文字目に使いますが、読み方が違うので、こんな方法もあります。
(2)江戸時代や明治の旧地名を使う
昔、静岡県が駿河で、大阪が摂津と呼ばれていたことから、静岡を「静」ではなく「駿」に、大阪を「大」ではなく「摂」にする方式です。福島は旧国名の磐城から「磐」、福岡は筑前と筑後から「築」、長野は信濃から「信」、福井県は江戸時代の名称である「若狭国」では分かりにくいので、明治時代の名称である「嶺南」と「嶺北」から、「嶺」にする案もありそうです。
(3)都道府県の代表的な都市名を使う
例えば、大阪を「堺」、福岡を博多から「博」と表記する方法です。この方式は、自動車のナンバープレートで採用しました。前記のように、自動車の昔のナンバープレートでは、1文字で自動車の所在地を表しました。筆者が子供の頃、大阪には「和泉(いずみ)市」に自動車検査登録事務所があり、それに由来する「泉」ナンバーが走っていました。この「泉」は、地元民には直感的に分かる漢字です(問題は、他の都道府県の人に分かるかですね)。
(4)アルファベットを2文字使う
2バイトの漢字を1文字で表示するのではなく、1バイトのアルファベットを2文字使う方法もあります(表示の「面積」は同じです)。宮崎を「MZ」、宮城を「MG」、大阪を「OS」、大分を「OI」、長野を「NG」、長崎を「NS」と表記する方式です。前回のこのコラムでは、東京の地下鉄路線名での「1文字にする苦労」の改善案、拡張案として、この「アルファベットの2字化」を挙げました。
この方法を採用すると、図5の「福山県と山岡県が増えた」場合や、図6の「福山県と岡福県が増えた場合」のように、通常の1文字表示が不可能な場合にも対応できます。福山県を「FY」、岡福県を「OF」と表せばよく、拡張性に富みます。保守性が良いことは、システム設計において非常に重要です。
(5)新しい文字を作る
自分で漢字を作る方式です。一種の力業ですね。長崎県と宮城県の例を図7に示します。この方法なら拡張性もあり、図5の「福山県と山岡県が増えた」場合や、図6の「福山県と岡福県が増えた場合」も対応できます(図8参照)。「新字」方式は、直感的で、少し考えれば県名が分かりますが、一般ユーザーが使うPCの文書作成ソフトで入力できないのが大きな欠点です。
前回の「東京の地下鉄の路線名の1文字化」の拡張案として、「他とバッティングしないよう、路線名自体を変える」という荒業も紹介しました。それを今回に当てはめると、「都道府県名自体を変える」ことになります。大阪府を「摂津府」に名称変更すると、さすがに、競輪の出走表やナンバープレートの表記を越えて、影響が大きすぎますが、候補案に入れておくのはいいと思います(「こんな案まで検討した」ことが分かるので)。
おわりに
今回、競輪の出走表で、都道府県名を1文字で表現していることをもとにして、データや固有名詞のコード化を考えました。1文字化では、1文字化すること以上に、1文字化が可能になる条件、できない条件を論理的に数学的に把握することが重要です。また、将来、データが増えて、従来の1文字化方式が不可能な場合の拡張方法やコード化方式も考えておきましょう。これを考えなかったので、「西暦2000年問題」が発生しました。
「今以上に増えることはないだろう」と勝手に予想してはいけません。システムの設計や保守は、競輪のようにギャンブルではありませんので。
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組み込みエンジニアの現場力養成ドリル
このコラムでは、組み込みエンジニアが日々の開発で実際に遭遇する「小さなトラブルを」取り上げ、演習形式で解説します。
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