製造現場のIoT活用を成功に導く5つのポイント(5)
IoTシステムは導入して終わりではない、成果に結び付けるための運用の心得
IoTコンサルタントとして、主に製造業でのIoT導入を支援してきた筆者の経験を踏まえ、工場(製造現場)におけるIoT導入を進める上で「まず考えておくべきこと」や「気を付けておきたいポイント」などを詳しく解説する。最終回となる連載第5回では「IoTシステムの運用」について取り上げる。
前回の記事「工作機械とクラウドをどうつなぐ? 製造業IoTで考慮すべき『通信』について」では、工場現場の各機器とクラウドサービスなどをつなぐ「通信」について説明しました。今回は、IoT(Internet of Things)システムの運用を見据えて考慮すべきこと、運用時に検討すべきことについて取り上げます。
IoTシステムの運用保守の効率化について
IoTシステムを構築し、生産性向上に必要なデータ収集の自動化を実現できたとしても、そのシステム運用に多大な手間がかかるようでは、かえって生産性向上の阻害要因となってしまいます。
多くの機器からデータを収集するような場合は、俯瞰(ふかん)的なデータの見える化を実現するために、「ダッシュボード」を用意するといいでしょう。また、機器に異常が生じた際は、すぐに担当者にメールやSMSなどでアラートを発信できるようにしておくと同時に、そのアラート発信のしきい値が適切かどうかも定期的に見直すことが大切です。
システム保守についても同様に、手間がかからないよう体制などを検討、準備しておきましょう。
SaaS(Software as a Service)型のIoTシステムを導入した場合、クラウドシステム側の保守はサービスベンダー側が行ってくれます。しかし、クラウドまでの通信回線は、通信キャリアが管理しているため、監視対象範囲外の可能性があります。通信が途絶えた場合、機器側の問題なのか、回線側の問題なのかを把握できるよう、回線サービスの監視についても、可否や方法を検討しておきましょう。
複数のPaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)などを組み合わせてシステムを構築している場合、どこでどのような障害が起こっているかを検知することが、保守上重要になってきます。多くのクラウドベンダーでは、それらを統合的に監視できるサービスを提供しています。CPUやメモリ使用量、通信負荷といったさまざまなメトリクス(項目)を監視し、必要に応じてスケールアップ/ダウンを行います。
また、クラウドシステムといえども、稼働率が100%保証されたサービスはありません。メンテナンスでシステム停止する可能性も考慮し、システム構築や保守体制を検討しておきましょう。
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データの追加分析に役立つ「セルフサービスBIツール」
機器のデータが集まり、それらを見える化していくと、機器に関してさまざまな傾向や生産性に関する新たな知見が見えてくることがあります。その際、過去に収集したデータや、他システムのデータを組み合わせた分析が必要になることが多々あります。
そのような場合には、「セルフサービスBIツール」を利用することをオススメします。セルフサービスBIツールとは、さまざまなデータベースやファイルから蓄積されたデータを収集でき、自分で分析や加工、レポートの作成ができるツールです(BIとはビジネスインテリジェンスの略)。
Microsoftが提供する「Power BI」、タブローソフトウェアが提供する「Tableau」、Qlikが提供する「Qlik Sense」など、各社から有償/無償のツールが提供されています。
セルフサービスBIツールでデータ間の相関が確認できれば、運用しているIoTシステム上でデータ分析できるように拡張する検討を進めるのもいいでしょう。
IoTに終わりはない、目的達成に向けた継続的な取り組み
連載第1回、第2回でも説明しましたが、IoTシステムは“導入すること”が目的ではありません。導入により、設備の生産性などを分析、把握するとともに、目的に必要な情報が収集できているかを評価し、必要に応じてシステムを改善していく必要があります。また、得られた結果を関係者に共有し、業務や設備を改善するなど、目的達成の活動につなげていくことが大切です。
今回は最終回として、「IoTシステムの運用」について解説しました。これまでお届けしてきた全5回の連載では、製造業における中小規模の工場でのIoT導入について、その目的や取り組みの方向性、IoTシステム構築に際して検討すべき事項について、筆者のこれまでの経験に基づき、事例を交えて解説しました。
本連載がこれからIoT導入を検討される皆さまにとって、多少なりとも参考になれば幸いです。 (連載完)
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製造現場のIoT活用を成功に導く5つのポイント
IoTコンサルタントとして、主に製造業でのIoT導入を支援してきた筆者の経験を踏まえ、工場(製造現場)におけるIoT導入を進める上で「まず考えておくべきこと」や「気を付けておきたいポイント」などを詳しく解説する。
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