業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る(5)
「iCAD SX」を6つの視点で徹底評価する(1/2 ページ)
「機能性」「コスト性」「操作性」「連携性」「効率性」「運用性」の6つのポイントでレーダーチャートを作成し、3D CAD製品を評価する連載。今回は純国産の機械/機構設計向け3D CADソフトウェア「iCAD SX」を取り上げます。
iCAD SXとは?
「iCAD SX(アイキャド エスエックス)」は、1980年代に富士通が開発した純国産のCADソフトウェアで、2001年から富士通子会社のデジタルプロセスへ、2010年からiCAD(法人)へとその開発が移管されています。
機械装置、生産設備、工作機械などの機械/機構設計指向の3D CADソフトウェアで、「CSG(Constructive Solid Geometry)」と呼ばれるデータ構造で形状表現を行うことにより、部品点数の多いデータであっても高速に処理することが可能です。
また、当然といえば当然ですが、造形/意匠設計指向の3D CADソフトウェアではないため、自由曲面の多い自動車部品や家電製品のような形状表現は苦手な部分があります。
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いざ、iCAD SXを分析!
それでは、連載第1回で紹介した6つのポイントに合わせて、iCAD SXの特長を細かくチェックしてみましょう。
6つのポイントとは、
- 機能性
- コスト性
- 操作性
- 連携性
- 効率性
- 運用性
でしたね。そして、1.機能性の部分をさらに細かく分割して
(1)モデリング(曲面以外)
(2)モデリング(曲面)
(3)アセンブリ
(4)図面
(5)検査
(6)変更・修正
のレーダーチャートを作成しました。
まずは、1.機能性についてです。(1)モデリング(曲面以外)に関して、iCAD SXはデータ構造としてCSG方式を採用しており、「プリミティブ」と呼ばれる直方体、円筒、円すいなどの基本的な3次元形状の組み合わせで目的の形状を表現します。
機械/装置設計分野では、自由曲面を採用するケースは極めてまれで、ほとんどが直方体、円筒、円すいなどの形状で構成されています。iCAD SXでは、これら基本形状を合成して表現するCSG方式を採用することにより、モデルデータを軽量化し、大規模アセンブリデータの軽快な操作を実現しています。
iCAD SXは、フィーチャーの履歴を持たないノンヒストリー型の3D CADで、スケッチ平面を使用しなくとも、形状をアイコンとメジャーによる直感的な操作で、頭に浮かぶイメージをダイレクトにモデリングでき、マウスで面を選択して伸縮させることが可能です。
国産3D CADということもあり、JIS規格に対応した機械部品ライブラリを備え、ネジを配置すると同時に穴も開けてくれます。非常に便利な機能であり、筆者のお気に入りです。
(2)モデリング(曲面)については、前述の通り、生産設備や工作機械を設計するために特化した3D CADであるため、自由曲面を作成するのは苦手です。しかし、他の3D CADで作成した曲面形状を「IGES」や「Parasolid」といった中間ファイルにして取り込むことができるため、うまく他ツールと連携することでこの問題を回避することが可能です。
(3)アセンブリに関してですが、iCAD SXではモデルの位置を合わせてスライドや回転などの動きの設定を行うことで機構の確認が行えます。また「Excel」でタイムチャートを作成し、それと連動した動きを確認することも可能です。
(4)図面機能に関しては、2D CADとして使うことができるくらいiCAD SXには豊富な機能がそろっています。3Dモデルから2D図面を生成した場合に別ファイルではなく、1つのファイルで3Dモデルと2D図面の両方を管理できるのも特徴的です。
(5)検査機能ですが、一般的に大規模な装置設計では3Dデータ容量が大きくなってしまい、検証や検査ができません。しかし、iCAD SXはデータが軽量であるため、工場などの大規模なラインレイアウトの検証に対応し、作業者視点での手元の確認や作業スペースの確保といった操作性、保守性の検証、さらには干渉チェックや断面検証がスムーズに行えます。加えて、穴情報や加工面情報、加工ツール検証などの加工性検証も可能です。
(6)変更・修正については、履歴や拘束を意識せずに面を選択し、素早く簡単に伸縮でき、アセンブリ構造の変更や修正も他との関係に制約を受けることなく行うことができます。基本はノンヒストリー型のダイレクトモデリングになりますが、部分的にパラメータを適用してパラメトック変更させる(後付けパラメトリック)ことも可能です。
2.コスト性についてですが、販売価格(税別)はスタンダード版が138万円、プロフェッショナル版が168万円となっており、一般的なミッドレンジ3D CADと同等価格です。ただし、iCAD SXは事務処理などで使用する一般的なPC上でも動作するため、高価なワークステーションを別途購入する必要がなく、ハードウェア環境の購入コストを抑えることができます。
3.操作性についてですが、非常に多くのコマンドがあり一見選ぶのが大変そうですが、よく使うコマンドは「お気に入りボックス」に入れて、マウスの右ボタンから簡単に呼び出せます。他の一般的なヒストリー型のパラメトリックモデリング3D CADを使っている人は、最初少し戸惑うかもしれませんが、使っていくうちにすぐに慣れるでしょう。
4.連携性ですが、通常メカ設計と電気設計は別々のシステムで行うことが多く、データ連携による効率化が困難ですが、iCAD SXはメカ/電気/制御設計を同一システムで行う“融合設計環境”を実現しています。これにより、設計情報を一元化でき、いつでも互いの最新情報を参照、活用しながら並行検討が行えます。また、設計支援オプションとして、配管設計、ハーネス設計、電気回路設計なども用意されています。
5.効率性についてですが、独自CADエンジン(カーネル)を採用し、大規模アセンブリもストレスフリーで効率良く動かすことができます。他の3D CADシステムに搭載されているエンジンと比較し、200倍の高速処理性能を備え、100万部品の大規模な機械装置においても0.2秒で処理することが可能だとしています。
そして、6.運用性ですが、ソフトウェアのバージョンアップは3~4年に1度あり、リリースは年に1回あります。修正パッチは1カ月に1回程度提供されます。2D/3Dが1ファイルなので管理しやすく、データも軽量なためディスク容量を圧迫しません。
さらに、CAD全文検索エンジンを使用することで、図面中の寸法、注記、表題欄、属性といった全てのテキスト情報を検索でき、検索したモデルを制約なく流用できます。また、ネットワークライセンスを一時的に切り離せるため、ノートPCを他部署や客先などに持ち出して打ち合わせをするといった利用も可能です。
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業務に適した3D CADをレーダーチャートで探る
3D CADソフトの選定を行う際、皆さんはどのような基準で評価を行っているだろうか。本連載では、3D CADをどのようなポイントで選べばよいか? さまざまな3D CADソフトや機能を紹介しながら、レーダーチャートでその特性や機能性を評価する。
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