MathWorks Automotive Conference 2018
タケコプターのような“制約のない自由な移動”を目指す空飛ぶクルマ「SkyDrive」(2/2 ページ)
CARTIVATORが目指す空飛ぶクルマの姿
講演では、その中から機体設計にフォーカス。山本氏は、CARTIVATORが実現を目指す空飛ぶクルマの姿について説明した。
空飛ぶクルマは、「垂直離着陸の可否」「固定翼の有無」「地上走行の可否」で大きく分類できるという。
例えば、垂直離着陸ができない、翼を広げて飛び立つ(固定翼)タイプのものだと機体が大型になり、滑走路が必要となる。その分、航続距離はドローンのような回転翼タイプのものよりも長いが、やはり日本のように滑走路として利用できる道路や土地が少ない国では、現実的なアプローチとはいえない。そこでCARTIVATORは、(クルマとしての)地上走行を含めた移動距離の最大化と、機体の小型化、回転翼による垂直離着陸を実現する“世界最小の空飛ぶクルマ”を開発のゴールに定めた。
そうしたCARTIVATORの思いを具現化した未来のSkyDriveのイメージが「SD-XX」である。
「この世界最小でドアからドアへと移動できる空飛ぶクルマを実現するために、欠かせない3つのテクノロジーがある」と山本氏。それは、カウンタートルクを相殺する効果がある「2重反転ロータ」、回転数を変えずにプロペラの角度を変えることで揚力を制御する「可変ピッチコントロール」、プロペラによる事故防止だけでなく、プロペラ効率を上げる「ダクト」の3つである。
これらの技術要素を用いたSkyDrive開発のために、MBDやシミュレーションが重要な役割を果たしているのだという。
SkyDriveのロードマップ
CARTIVATORは5分の1スケール、1分の1スケールと試作開発を進めながら、トヨタグループからの支援などを経て、今では60社以上のスポンサーを獲得。また、2018年からは国土交通省 航空局との交渉などもスタートしている。
現在の計画では、2018年秋までにテスト機「SD-01」を完成させ、無人機デモフライトを予定。翌2019年春には有人機を完成させて、試験を開始する。そして、2020年8月の東京オリンピック・パラリンピックの会場で、有人機によるデモフライトの実現を目指す。
当然、ゴールまでにはさまざまな課題を解決しなくてはならない。まず、山本氏は一般的な空飛ぶクルマの課題として「騒音」「バッテリー容量」「100%の安全性」「ルールやインフラ作り」などを挙げ、「これら課題の解消については、各分野の技術発展とともに、業界全体の協調が不可欠だ」と述べる。
また、CARTIVATORが直面している課題として、「操縦のヒューマンインタフェース」「飛行ユニット(の調達)」「安全性設計」「冗長設計」を挙げる。これらについても「専門家、専門会社との連携で解決を図る必要がある」と山本氏。
有志団体であるが故の制約から解放するMBDとシミュレーション
CARTIVATORでは、飛行機能の設計のために、MBD環境の構築とそれを用いた理論検証を実施。具体的に理論研究チーム、モデル化チーム、実験チームの3チームで飛行機能の設計に取り組み、前述した3つの技術要素(2重反転ロータ、可変ピッチコントロール、ダクト)の実現にチャレンジしている。
また、有志団体だからこそ制約も多く、実験スペースの問題、実験コスト、実験の危険性(事故のリスク)、メンバー同士の物理的な距離の問題などを抱えており、こうした制約や課題に対し、MBDやシミュレーションを活用した設計、開発アプローチが有効だという。
さらに、山本氏は「空飛ぶクルマ開発は、流体力学、制御工学、自動車工学、航空工学、信号処理など技術領域が多岐にわたり、複数メンバーで取り組むためには共通言語としてのモデルやシミュレーション環境がどうしても不可欠だった。また、有志団体ということで資金的にも限りがあり、試作と実験を繰り返し行うことが難しい。そのため、設計の早期段階でシミュレーションを行うことで、品質や精度を高め、試作回数を極限まで削減する必要性がある」と語る。
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