制御システムセキュリティカンファレンス
JPCERT/CCが語る「制御システムセキュリティ」の最新動向と展望(2/2 ページ)
- ランサムウェアの増加は仮想通貨と関係か
「制御システムセキュリティとランサムウェア」というテーマでは必ずといってよいほど言及されるWannaCryだが、被害規模という観点ではNetPetyaも同レベルの広範囲感染を見せている。WannaCryとNetPetyaはいずれもICSを狙ったものではないが、自己増殖の仕組みを持っていたために爆発的に感染を広げ、結果的に製造業(自動車製造)や交通インフラ(鉄道券売機)などにも感染した。
こうしたランサムウェアは2015年から17年にかけて大量に検出されており、新種の出現も多い。急速な増加について宮地氏は「仮想通貨の普及で身代金が集めやすくなったことも(急激な増加の)原因ではないか」との見解を示した
マルウェア以外の攻撃
ランサムウェアを含むマルウェアによるICSに対する攻撃は確かに存在するが、「過去1年間にICSセキュリティ・インシデントが発生したか」という調査では面白い結果が出ている。SANS Instituteの年次報告書では、前年比で「インシデントがあった」の回答は半減し、断定的に「ない」とした回答が5割増しとなっている。
この結果だけを取り上げるとICSにおけるインシデントは減少傾向にあるとなるが、「毎月ないし毎週インシデントが発生している」という回答もあることから、宮地氏は「ICSのモニタリング(可視化)が進んだため、このような結果が出たのではないか」と推測する。なお、ICSへの脅威は「高い~深刻」であると認識する声が高く(69%)、2017年についていえば、「発覚したインシデントは前年より少ないが、脅威として認識されている」というのが全般の傾向といえそうである。
また、米ICS-CERTの公開している脆弱性アドバイザリ数に大きな変化はないが、宮地氏によればこれは脆弱性がこのようなカタチで公表される前に調整されているためであり、ICSベンダーが自らICS-CERTに報告する事案の割合が増加しているという。その他にもICS関連の脆弱性は複数存在しており、その中にはSpectre/MeltdownのようにICSベンダー自身に起因しないものや、産業用ロボットがサプライチェーン上流の脆弱性を継承してしまっているケースもあり、注意が必要だという。
楽観視はできないが、「最後は“人”」の取り組みが始まる
このように制御システムセキュリティを巡る環境は決して楽観視できるものとは言い難いが、ICSセキュリティの標準化(ISA/IEC 62443やISO/IEC 27000シリーズなど)も進行しており、内閣府SIPでは2020年を1つの目標とした、重要インフラの安定稼働を目指すための研究開発を推進するなどの動きも多く見られる。
また、IPA(情報処理推進機構)では「産業サイバーセキュリティセンター」を2017年4月に発足、OT/ITセキュリティのギャップを埋められる人材の育成に取り組んでおり、ISA(The International Society of Automation)でもISA/IEC 62443に基づいた教育コースを開設している。
宮地氏はこうした各機関の人材育成に対する取り組みを紹介しながら、「最後は“人”であることの取り組みが始まったのが、2017年だった」と講演を締めくくった。
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