大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
相次ぐエレクトロニクス企業のトップ交代、FPGA業界にも再編の波(2/3 ページ)
とはいえ、近い将来に地殻変動が起きそうなところもある。FPGA業界だ。2018年1月25日付のEETimesは、Microsemiの売却に関する可能性を報じている(Microsemi Reportedly Mulls Sale )。Microsemiを含めたFPGA各社の業績を確認しながら、「地殻変動」の可能性を探ってみた。
FPGA業界に再編の波が?
Microsemiの直近5年の業績を見てみると表1の様になっており、決して悪い数字ではない。特に2017年には粗利率が60%を超える高収益体質になっている。Annual Reportによれば、これは主に航空宇宙向けの高マージン製品が貢献しており(ただし売り上げそのものは2016年からやや減っている)、さらに2016年からデータセンター向け製品の売り上げが急伸しており(2015年は11.9M$だったのが2016年には276.9M$、2017年には421.4M$に増加した)、これで全体の売り上げ増加を成し遂げたという感じだ。この好調なMicrosemiがなんで売却を、というのは不明ではあるのだが。
| 年度 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上 | 1,811.8 | 1,655.0 | 1,245.6 | 1,138.3 | 975.9 |
| 粗利 | 1,157.5 | 937.1 | 684.3 | 611.5 | 557.2 |
| 荒利率 | 63.9% | 56.6% | 54.9% | 53.7% | 57.1% |
| 営業利益 | 270.3 | 53.7 | 122.6 | 54.2 | 89.4 |
| 純利益 | 176.3 | -32.6 | 84.6 | 23.1 | 43.7 |
| 表1 Microsemiの直近5年間の業績(単位は100万ドル) | |||||
Microsemiは業界別あるいは地域別の売り上げ詳細こそ公開しているが、製品別の詳細を公開していないため、FPGA製品がどの程度の売り上げと利益を稼ぎ出しているかは不明である。とはいえもし同社が売却されるとなると、当然ここの行方は気になる部分となる。
比べると状況が悪いのはQuickLogicとLatticeである。まず大手4社の次に位置するQuick Logicの状況が表2だが、そもそも2017年の売り上げが1200万ドルしかない(そして純損失が1400万ドルある)というのは、この先もビジネスを継続してゆくにはかなり厳しい状況である。
この原稿を書いている時点(日本時間の2018年1月29日)における同社の株価は2.08USD、時価総額は1.67億ドルほどであり、買収にはお手ごろな状況になっている。問題は「誰が同社を買いたいか」だが、何かしらの価値を見つけられるならM&Aの対象になりえるだろう。
| 年度 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上 | 12,338 | 18,956 | 27,845 | 26,072 | 14,944 |
| 粗利 | 5,392 | 7,545 | 11,049 | 8,767 | 7,066 |
| 荒利率 | 43.7% | 39.8% | 39.7% | 33.6% | 47.3% |
| 営業利益 | -13,944 | -17,513 | -12,800 | -11,791 | -12,158 |
| 純利益 | -14,378 | -17,848 | -13,079 | -12,276 | -12,314 |
| 表2 Quick Logicの直近5年間の業績(単位は100万ドル) | |||||
QuickLogicに比べると状況としては良いのがLatticeである。表3がその結果(同社はまだ2017年度第4四半期の決算を発表していないので、2017年度のみ第3四半期までの集計である)である。粗利率は50%を超えており、それなりに売り上げも大きいのだが、もう3年連続で営業損失を計上している状況であり、これが続くとビジネスは難しい。
| 年度 | 2017(*) | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上 | 290,695 | 427,054 | 405,966 | 366,127 | 332,525 |
| 粗利 | 165,343 | 246,434 | 219,909 | 206,187 | 178,244 |
| 荒利率 | 56.9% | 57.7% | 54.2% | 56.3% | 53.6% |
| 営業利益 | -46,899 | -26,699 | -107,232 | 41,616 | 26,786 |
| 純利益 | -63,481 | -54,099 | -159,233 | 48,580 | 22,321 |
| 表3 Latticeの直近5年間の業績(単位は1000ドル、* は2017年は3四半期分の集計) | |||||
実のところ、そもそも同社が投資ファンドによる買収に合意したのは、この慢性的な赤字状態から脱するため、ある程度の資金が必要という理由である(Lattice、投資ファンドが13億ドルで買収へ)。その背景にあるのは、売り上げの3割にも達するR&Dコストであるが、生き残りのためにR&Dコストは削減できないとはいえ、年間1億ドル規模のコストを維持するためには、売り上げをもう少し引き上げないと立ち行かなくなりそうだ。
2017年11月には「単独のパブリックカンパニーとして成長を続けていく自信がある」(超小型FPGAをエッジに、独自路線を進むLattice)としている同社ではあるが、どこかの企業に買収を持ちかけても不思議ではない。株価は6.58ドル、時価総額は8.12億ドル程となっており、1年前より株価が下がっている事もあって、昨今のM&A金額を考えるとそれほど買収は難しくない規模ではある。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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