TechFactory通信 編集後記
「クルマのサービス化」と「タクシー」は何が違うの?
自動運転に電動化、環境対応と自動車に関する話題は尽きませんが、2018年には「MaaS」(モビリティのサービス化)の話題を耳にする機会が増えそうです。ただ、クルマでの「サービス提供」はタクシーやバス、移動販売車などと何が違うのでしょうか。
2018年になってまだ1カ月にも足りませんが、北米のCES 2018にデトロイトモーターショー、そして東京のオートモーティブワールドと自動車関連のイベントが相次いでいます。自動運転に電動化、環境対応と話題は尽きませんが、2018年には「モビリティのサービス化」(MaaS:Mobility-as-a-Service)に関する話題もその輪に加わりそうです。
従来的な発想でいえば「自動車といえば所有して乗るもの」で、所有せずに乗る車はタクシーやバスといった商用車でした。ですが、UberやLyftといったシェアリングサービスの台頭、自動運転技術の進歩は、「自動車を所有せず、必要な時にサービスとして利用する」時代を招き寄せつつあります。
トヨタ自動車はCES 2018にてMaaS向け車両の「e-Palette Concept(以下e-パレット)」を発表しました。移動手段の提供にとどまらず、「店舗が利用者の元にやってくる」といったビジョンも提示し、マツダやUberといった自動車関連企業だけでは無く、Amazonやピザハットといった異業種もアライアンスに参加すると発表されています。
半導体大手のルネサス エレクトロニクスも2017年春の自社イベントで「自動運転車は走る喜びを提供するオーナーカーと移動手段としてのサービスカーに分かれて進化する」と言及していたよう、MaaSの考え方は以前から存在します。そもそも、旧来から存在するタクシーや路線バスは「移動をサービスとして提供」しており、オフィス街で見かけるキッチンカーや宅配トラックは飲食や物流をサービスとして提供しており、まさしくMaaSなのですから。
では、なぜMaaSが注目されるのでしょうか。全世界的な都市化対策(大都市に人口が集中することによる渋滞の緩和や環境対策など)と少子化による販売台数減がその理由として挙げられますが、個人的にはUberなどのシェアライドが(地域や用途などにもよりますが)「車を買わなくても大丈夫」であることを証明してしまったこともその理由の一端であると考えます。
このように注目されるMaaSですがe-パレットのような新しい取り組みが受け入れられるかというと、前途多難でしょう。MssSは無形のサービスであるために需要なきところには存在できません。過疎地における自動運転バスや渋滞激しい都市中心部における乗り合い自動運転車などは需要が見込める例といえますが、採算性を確保できなければ有人運転のバスやUberがその役目を果たすだけです。
CES 2018でトヨタ自動車の豊田章男社長は「GoogleやApple、Facebookといった企業がライバルになりつつある中で、重要な要素はソフトウェアからプラットフォームに移りつつある。プラットフォームはMaaSのバックボーンになるからだ」とプラットフォームの重要性を語ります。ですが、そのプラットフォームで「何を提供するか」まで見極めなくては、用意したMaaSプラットフォームが絵に描いた餅となりかねません。
2018年に「所有しない自動車の時代が来る」とMaaSが話題になる機会は増えそうですが、利用者に「何(どのような価値)を提供するか」を明確化し、さらには「コスト面での妥当性があるか」を提示できなければ、「結局、MaaSって少しIT化したタクシーとかバスで事足りるよね」という話になりかねません。
車というモノづくりに心血を注いできたメーカーからすれば、「使ってもらえるサービスの設計」は苦手かも知れませんが、そこを乗り越えなければMssSとしては成立しません。MaaSのMはMotor(自動車)のMではなく、Mobility(可動性)のMであるを意識しての行動が求められることになります。
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TechFactory通信 編集後記
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