RobiZy設立記念セミナー
「生産現場でのロボット活用」を進めるために必要なプレイヤーとは(1/3 ページ)
人と一緒に働く協働ロボットは生産現場でも徐々にその存在感を増しているが、普及のへの障壁があることも事実だ。人とロボットがともに働くために、いま何が必要なのか。ロボットビジネス支援機構(RobiZy)設立セミナーの基調講演から解き明かす。
産業用ロボットが当たり前のように使われている現代。日本ロボット学会理事も務めた経歴を持つ東京大学名誉教授の佐藤知正氏は「次に来るのは、その高度化とさらなる普及、そしてサービスロボットの時代であり、人とロボットの協働がさらに進むだろう」と語る。
人とロボットがともに働くために、いま何を考え、どのような取り組みをすべきなのか。佐藤氏が登壇したロボットビジネス支援機構(RobiZy)設立セミナーの基調講演から説き明かしたい。
協働ロボットの本格化には何が必要か
ロボットを構成する要素技術は猛スピードで進化を遂げている。日本も産業用ロボット大国としてその先端に属している。しかし技術はともあれ、ビジネス化という面で欧米諸国に後れを取っているのではないか。そう懸念する各界関係者が集まり発足したのが、ロボットビジネス支援機構、通称「RobiZy」(ロビジー)だ。佐藤氏は、その設立記念セミナーにおいて「人間とロボットが協働する世界の実現に向けて~背景、現状そして将来、RobiZyの役割~」と題した基調講演を行った。
2015年1月に安倍総理大臣を座長とする「ロボット革命実現会議」が「ロボット新戦略」を宣言した。掛け声だけではなく、2020年までに産業用ロボットの市場を2倍に、サービスロボットの市場を20倍に拡大することなど、具体的なプランも含まれていた。その後、ロボット革命イニシアティブ協議会の発足や、ロボットオリンピック(後にワールドロボットサミットと命名される)が計画されるなど、実際に社会の動きも追従している。そうした現状を語った上で佐藤氏は、まずこれまでのロボットの歴史を振り返った。
「私が電総研(電子技術総合研究所:産業技術総合研究所の前身となった研究機関の1つ)に入ったばかりの頃、ロボットとAIがホットトピックスで、手と目を使って働くロボットが世界で初めて登場しました。プログラムで決められた動作をするのではなく、カメラで物体を認識して、それをつかみ、壊れないようにそっと置く。あれから40年たって、そうしたロボットが市場でのホットトピックスになっています。技術革新により、そこまで時代は進んだのです」(佐藤氏)
コンピューティングパワーの向上と、ロボット自体の精度や性能の向上。この両方の進化があったから、ロボットは研究室から市場へ出ることができた。そう佐藤氏は言う。技術的な要因だけではなく、労働力が圧倒的に不足すると予想されたことなどの社会的要因もロボットへの投資の後押しとなった。
「高齢化社会、多死社会と言いますが、健康年齢と寿命との間に10年の開きがあることをご存じでしょうか。健康を損ない、なんらかの病気やハンディキャップを持って10年間生きる、そういう人が増えていくのがこれからの社会です。私はこれを多障害社会と呼んでいます」(佐藤氏)
人口減少下の多障害社会では、人は人に支えられるのではなく、機械(ロボット)に支えられながら生きていく。そのためにロボットは人がいる空間へ行く必要がある。これを支えるのが、コンピューティングパワーの向上によりもたらされた、ここ数年のソフトウェア進化だ。40年前には研究室内の限定された空間で、しかもスイッチを押してから何十分もかけて単純な動作をするだけだったロボットが、今やディープラーニングやAIの力を得て、より自由な空間でより高度な活動が可能になった。
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