Mentor Forum 2017 - Automotive Day|講演レポート
【徹底解説】つながるクルマ「コネクテッドカー」のセキュリティ課題と対策(3/4 ページ)
コネクテッドカーの開発元にとっての課題はどこか?
では、実際に「対策しよう」と考えた場合に、コネクテッドカーを開発、製造する自動車メーカーやTier1/2にとって、課題となり得るポイントはどこにあるのだろうか。講演で原氏は「スレットインテリジェンス」「ハードウェアセキュリティ」「ソフトウェアセキュリティ」「ネットワーク/クラウドセキュリティ」それぞれについて解説した。
まずスレットインテリジェンスだが、ここでの課題は最新の脅威動向や知見をどのように集めて、どのように運用していくのかという点だ。また、そもそもそうしたことを、自動車メーカーやTier1/2がどこまでやるのかという問題もある。「われわれのようなセキュリティベンダーであれば、最新のセキュリティトレンド、脆弱性の情報とその対策といった情報が日々集まり、知見も豊富にある。しかし、こうしたことを開発元自らが行うとなると、情報収集だけでなく、脆弱性の対処方法を検討したり、場合によっては大掛かりな専門組織/体制を立ち上げたりする必要があるかもしれない。そうなると大規模な投資も必要となってくる」と原氏は指摘する。
次にハードウェアセキュリティだ。例えば、コネクテッドカーを購入してバラバラに分解し、どのような構造になっていて、どのようなチップが使われているのかといったことを知ることは不可能ではない。場合によっては内部のハードウェアに開発用のコネクターなどが存在しており、そこから解析を行うといったこともできてしまう。「そのため、ハードウェアに関しても内部構造を解析しにくく、見破られないようにする耐タンパー性を考慮して、セキュリティ対策を考える必要がある」と原氏。
そして、原氏が「ここが一番重要なポイントだ」と話すのが、ソフトウェアセキュリティだ。現在の自動車はソフトウェアの塊といえる。そのため、不具合や脆弱性が「絶対にない」とは言い切れない。原氏は「Windows OSで頻繁にアップデートがあるように、必ずソフトウェアには不具合が存在する。この点に関してきちんと運用管理し、適切に対処するための体制作りなどをしておく必要がある。販売した後のオペレーションを含めて検討すべきだ」と述べる。
最後はコネクテッドカーの根幹ともいえる通信に関連する、ネットワーク/クラウドセキュリティについてだ。現在のところ、コネクテッドカーの接続先は自動車メーカーあるいはTier1に限定されているが、近い将来よりオープンに、インターネットへアクセスできるようになる可能性もある。繰り返しになるが、インターネットへの口が自動車に搭載されるということは、一般のPCなどと同じレベルでリスクが高まることを意味する。そのため、ユーザーの利便性や新しいサービスを、インターネットを通じて提供する際は、十分な対策が必要である。そして「さまざまな情報が収集されるクラウドには注意が必要だ。直接的に自動車の安全などに影響を及ぼさなくても、個人情報や走行情報など、金銭的な価値を見いだせる情報があると、ハッカーに狙われる可能性が考えられる」(原氏)という。
IoTというくくりの中には、小さなセンサーやデバイス、情報家電、自動車(コネクテッドカー)、家、工場とさまざまなものが含まれる。これらは当然ながらリスクの大きさが異なる。「極端に言えば、ロボット掃除機がハッキングされて暴走したとしても、人命に関わることはないし、ロボット掃除機のカメラ映像を盗まれても『気持ち悪い』というだけで済むだろう。ただ、(今回の主題である)コネクテッドカーの場合はどうか。サイバー攻撃が発端となって重大な事故が発生したら……。1社だけの問題ではなく、業界全体の問題、社会問題にもなりかねない。こうしたリスクの大きさをしっかりと認識することが何よりも大切である」と原氏は説明する。
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