Mentor Forum 2017 - Automotive Day|講演レポート
【徹底解説】つながるクルマ「コネクテッドカー」のセキュリティ課題と対策(2/4 ページ)
コネクテッドカーセキュリティで課題となる5つの欠点
では、コネクテッドカーが普及していく上で、課題となるセキュリティ上の欠点はどこにあるのか。原氏は「既知の脆弱(ぜいじゃく)性」「安全でないネットワークポートの開放」「セキュリティが確保されていないネットワークプロトコル/FOTA」「不十分な認証/認可」「不正なシステム変更の未検出/プロセス挙動の未把握」の5つを挙げる。
サイバー攻撃の多くが脆弱性、ソフトウェアの問題を突いてくる。コネクテッドカーに限らず、あらゆる機器は出荷前にさまざまなテストを実施し、問題がないことを確認してから出荷される。「しかし、出荷時点で問題がなくても、脆弱性というものは後から必ず見つかるものだ。通常、自動車は10~20年と長期間使用される。(コネクテッドカーの使用年数も同じとするならば)何も対策せずにいると、あっという間に脆弱性だらけになりかねない」と原氏は指摘する。
コネクテッドカーでは、BluetoothやWi-Fi、USBポートなど、さまざまなインタフェースが用意されている。基本的に、これらの口からCANバスまで通信することは不可能になっているはずだが、ごくまれに前述のようなハッキングが行われることがある。「一度突破されてしまうと大きな問題にもつながりかねない。あらためて“入り口が増えると、リスクが増加する”ということを認識すべきだ。ただ、将来の自動車の発展を考えると、こうした口は増えていく方向だと思われる。全ての入り口、特に通信の入り口に関しては攻撃の起点になりやすいので注意が必要だ」と原氏。
また、最近のIoTデバイスの多くは、最新環境に保つためにネットワーク経由でファームウェアアップデートを行えるようになっているが、「逆にここを狙ってアタックを仕掛けてくるケースがある」と原氏は指摘する。さらには「セキュリティ対策のために導入したソフトウェアが狙われることもある」(原氏)という。実はこうした仕組みが、前述した“通信の入り口”になってしまう可能性があるため、安全のために導入したはずが、逆に攻撃に利用されてしまうという事態が起こり得るのだ。「ただし、リスクの大きさや問題が発生した際の迅速な対応を考えると、FOTAのような仕組みは、コネクテッドカーには必要となるだろう」と原氏は述べる。
さらに考えられるセキュリティ上の欠点としては、「手持ちのスマートフォンとコネクテッドカーが簡単に接続できる」といった機能にあるという。ドライバーの利便性を考えた機能である半面、「第三者でも容易に接続できる可能性がある」と、これもまた“通信の入り口”として利用されかねないからだ。また通信を暗号化して守るという考えもあるが、「自動車は10~20年と使うものなので、現在安全といわれているような暗号化技術であっても、未来永劫(えいごう)安全とは言い切れない。暗号化技術は時間が経過すると弱くなっていくものである。また将来、量子コンピュータのようなものが一般的になれば、今の暗号化技術はあっという間に解かれてしまう。そう考えると、既に世に送り出されている自動車の暗号化処理をどこかのタイミングで変更する必要があるかもしれない。ただ、一度出荷されてしまうとそういった対応は難しくなってしまうが……」(原氏)
そして、これまでは不正攻撃を受けないようにする、侵入させないようにするといった考えに基づいて、自動車はデザインされてきたはずだが、IoTデバイス化する新しい自動車(コネクテッドカー)の場合、「『いつか攻撃される』『いつか侵入される』という考えに基づき、攻撃や侵入されたときに、きちんと対応、対策できる仕組みを用意しておくべきだ」(原氏)という。最悪なのは侵入されていることに気が付かないでコネクテッドカーを利用し続けることだ。そうならないためには、通信やプロセスなどを監視して不審な振る舞いがないか、異常はないかといったことを検知する仕組みを備えていないと、攻撃者のやりたい放題になってしまう。
「以上、コネクテッドカーが普及していく上で、課題となるセキュリティ上の欠点を述べてきたが、これらはコネクテッドカー以外のIoTデバイスに置き換えても同じことがいえる。つまり、ここで挙げた5つの欠点は、IoT全体の課題と言い換えることができる」(原氏)
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