東陽テクニカ DMTS
「時速160キロで急ハンドル」を再現できる、実車を使ったテストシステム(1/2 ページ)
高度化する自動車の開発に、テストと検証は追い付いていないように見えてしまう。そこで注目されるのが、単体テストとテストコースでの実走行の間を埋める「ハンドルを切れるシャシーダイナモ」だ。
自動車の歴史は高機能化の歴史ともいえる。変速機はMTからATとなり、“重ステ”はパーワーステアリングに、燃焼噴射はキャブレターから電子制御に置き換わった。そしていま、自動ブレーキや自動車線維持などといったADASの実装も一般的になりつつある。
こうした車両の高度化は開発の長期化と複雑化を招くが、これと同様、もしくはそれ以上に問題となるのがテスト時間と人員の確保だ。人命を預かる自動車開発においてテストは重要な役割を担っており、本来であれば十分な時間と手間をかけて行われるべきである。しかし、開発競争や短納期化といった要求の影響を受けやすいのもまたテストである。
これまでの車両開発において(単一の機能ではなく)、コーナリングや自動運転といった要件を試すにはテストコースに車両を持ち込むか、許可を取った公道での実証実験しかなかった。東陽テクニカのシャシーテスト「DMTS(Driving & Motion Test System)」は、単体テストとテストコースでの実走行の間を埋める存在として注目されており、その実機が公開された。
ラボで限りなく実走行に近い環境を
東陽テクニカは計測機器の輸入販売を主業務とする技術商社であるが、近年では輸入販売から自社開発に、機器販売からソリューション提案とビジネスの形態を変化させており、2017年1月に「セキュリティ&ラボカンパニー」「ワン・テクノロジーズカンパニー」「技術研究所」といった社内組織を立ち上げている。
その一環として2017年7月には大規模な製品デモを行えるテクニカルリサーチラボ(神奈川県厚木市)を設立しており、DMTSもそこで公開された。技術研究所の所長を務める木内健雄氏はDMTSの狙いについて「ラボで限りなく実走行に近い環境を作り出す」ことを筆頭に挙げる。
木内氏は2016年11月まで本田技術研究所の上席研究員を務めており、そこでは燃料制御がキャブレターから電子制御に置き換わっていくような、大規模な変革の時期を過ごしている。そこで痛感したのが、評価/テストの重要性だ。
「自動車の高機能化が進む中、シミュレーターやCAEでシステムテストを進めることはできるが、それは仮想的なテストにすぎない。しかし、(実機を用いた)単体テストでは機能連携までは確認できない。DMTSはクルマをテストコースに持ち出さずに、総合的なテストができないだろうかという要望に応えるシステムだ」(木内氏)
このDMTSは「曲がれるシャシーダイナモ」とも呼べるもので、同社が代理店として販売するRototest製ハブ結合式シャシーダイナモシステムをベースとしている。試験車両からタイヤを外してダイナモを装着する形式を取り、ダイナモは固定されていないためハンドルを切ることができる。
従来のテストシャシーでは構造上ステアリングのテストができず、エンジン/パワートレインの性能評価が中心になってしまう。DMTSではステアリングが切れるので、屋内の一室で走行状態を再現できる。ここに独自開発した、映像や反力、送風などで公道データを再生する装置である「Vehicle Motion Realizer」(VMR)を組み合わせることで、「コーナリングを含む運動性能テスト」「統合制御システム動作テスト」「自動運転システムの機能確認」などが可能としている。
ダイナモの出力は1000馬力相当(4つ合計)で、車速に比例する風を発生させるファンも前方に設置される。こうした設備で「走行時のヘッドライトの消費電力確認」「冷暖房利用時の燃料消費率変化」「雪上走行時のスリップテスト」といったものから、「時速160キロで急ハンドルを切る」といった、テストコースであっても危険なテストまでがDMTSにて実施できる。
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企業戦略(自動車)
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