TechFactory通信 編集後記
パナ“次の100年”のけん引役「Panasonic β」は業界の模範となるか?
パナソニックが、イノベーションを量産するマザー工場として位置付ける「Panasonic β」(米国シリコンバレー)では、新たな住空間の提案に向けたプロジェクト「HomeX」の取り組みが進められています。
“次の100年”に向け、イノベーション量産化技術の開発に取り組むパナソニック。従来の事業部制を前提とした縦割りによる個々の強化だけでなく、今後は組織や職能を超えた横の連携が必要不可欠だとし、同社は“クロスバリューイノベーション”の量産化の実現を目指しています。
2017年7月に行われたパナソニック技術セミナーにおいて、同社 ビジネスイノベーション本部 副本部長の馬場渉氏は、縦の強みで成長してきたパナソニックを「タテパナ」、今後求められる横連携で成長していくパナソニックを「ヨコパナ」と表現。そして、ヨコパナによるクロスバリューイノベーションの量産化の実現に必要な要素として、「テクノロジー」「カルチャー」「デザイン」の3つを挙げ、そのうちテクノロジーの領域に対する取り組みを紹介しました(関連記事:パナソニック、次の百年の計「ヨコパナ」でイノベーションを量産化)。
パナ“次の100年”のけん引役「Panasonic β」は業界の模範となるか?
その中で、米国シリコンバレーで進めている「HomeX」というプロジェクトについて言及がありました。パナソニックは2017年7月、シリコンバレーに「Panasonic β」と呼ばれるイノベーション拠点を設立しており、ここで新たな住空間の提案に向けたプロジェクトとしてHomeXを推進し、プロトタイプの作成に取り組んでいるといいます。ちなみに、2017年11月29日に開催された技術IR説明会の中で、Panasonic βの役割について詳しく語られています(関連記事:パナソニックがシリコンバレーに設立した「Panasonic β」で「ヨコパナ」を実現|MONOist)。
イノベーション拠点を設立した背景には、大きく2つの理由があります。1つは、ヨコパナによるクロスバリューイノベーションの量産化の実現には、従来組織のデジタル化だけでなく、世界的IT企業のGoogleやAmazon、Facebookのような“デジタルネイティブな組織”が必要だという点です。そしてもう1つが、国内ではそうした組織作りに部門間調整などが発生し、時間がかかり過ぎるため、国内から離れた場所で、独立した組織を作る必要があったからだといいます。
MONOistの記事によると、Panasonic βの設立当初は、本社組織5人/3職能のメンバーでスタートしましたが、その後、2カンパニー/12人/5職能、4カンパニー/29人/9職能と人員を拡充。ヨコパナを小さな形(ミニヨコパナ)で実現し、イノベーションを量産するマザー工場として、Panasonic βを位置付ける考えだといいます。
製造業においても組織のデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進みつつあります。しかし、パナソニックのようにデジタルネイティブな組織づくりに積極的かつスピーディーに取り組んでいるケースはあまり耳にしません。
「長崎の出島のような組織であるPanasonic βだが、次の100年をけん引する役割を担っており、パナソニック本体の再成長を促していく」(MONOistの記事より抜粋)と馬場氏がコメントする通り、この取り組みが事業を再成長させるための起爆剤として機能するようであれば、パナソニックに倣い、イノベーション拠点を日本ではなく“海外に”設立する企業が増えていくのかもしれません。まずは、HomeXプロジェクトの成果がどのようなもので、どのような形で世の中に送り出されるのか、今後の動向を見守りたいと思います。
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