ET2017講演レポート
包括的なアプローチで製造業のデジタル化を推進するシーメンス(1/2 ページ)
シーメンスがデジタル事業を強化する背景とそのビジネス戦略、そして同社のデジタルプロダクト/サービスの方向性について、シーメンス 代表取締役社長兼CEOの藤田研一氏が語った。
IoT時代におけるシーメンスのデジタル事業戦略
組み込み技術の祭典「Embedded Technology 2017」およびIoT総合技術展「IoT Technology 2017」のカンファレンスプログラムの基調講演(2017年11月15日)において、シーメンス 代表取締役社長兼CEOの藤田研一氏が登壇。「IoT時代におけるシーメンスのデジタル事業戦略 ~シーメンスの取り組み-インダストリー4.0の実現に向けて」をテーマに、同社がデジタル事業を強化する背景とその戦略、そしてデジタルプロダクト/サービス展開の方向性について語った。
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「デジタルビジネス」を強化するシーメンス
シーメンスがデジタルビジネスを強化する背景について、藤田氏は「新たに登場したビジネスモデルが普及していくスピードは年々加速している。また、CPUの素子数も50年で約1億倍に急増。このような環境変化に応じて、企業が提供するサービスやビジネスが変わっていくことは当然のことだ」と述べる。そうした中でシーメンスが数年前からフォーカスしているのが、「電化」「自動化」「デジタル化」の3つの戦略市場であり、これらを“コア”に事業のポートフォリオの入れ替えなどを実施してきたという。「2020年までの電化の年間市場成長率が1~2%、自動化が3~4%であるのに対し、デジタル化は8%以上の成長を見込んでいる」(藤田氏)。
また、シーメンスの売り上げ構成について、藤田氏は「現状、従来分野におけるハードウェア(機器や装置の販売)の売り上げが大半を占めているが、近年急速に伸びているのがソフトウェアおよびデジタルサービスの領域である」とし、今後ソフトウェア/デジタルサービス、すなわちデジタル化事業が大きな収益の柱となる可能性を示した。
「インダストリー4.0」実現の肝は?
続いて藤田氏は、シーメンスのデジタルビジネス戦略について紹介。インダストリー4.0の実現においてデジタル技術がどのような役割を担うのか、次のように説明した。「インダストリー4.0は、IoT、クラウド、3Dプリント、AI、ロボティクスといった基本となる要素技術がないと実現できない。しかし、インダストリー4.0の本当の“肝”といえるのは、バリューチェーンの水平/垂直の連携だ。日本の製造業の場合、“系列”というつながりの下、当たり前のように一気通貫で行っているケースが多い。しかし、インダストリー4.0を推進するドイツでは、必ずしもバリューチェーン全体がつながっているわけではない。そのため、ここをデジタル技術でつなげる(バーチャルな系列を作る)必要がある。これを実現することで、あたかも1つの系列企業のようにバリューチェーン全体をつなげ、各プロセスが有機的に連動することで大きな成果を生み出せるようになる」(藤田氏)。
具体的に、シーメンスでは“包括的なアプローチ”で産業分野におけるデジタル化を推進しており、同社の独立した各事業分野において電化、自動化を進めた上で、これらを同社の産業用IoTプラットフォーム(IoTオペレーションシステム)「MindSphere」に接続。各事業分野(工場、発電所、鉄道など)からデータを収集し、MindSphere上で分析をかけて、そこから得られた洞察や新たな価値を顧客に提供するビジネスモデルを展開している。こうした包括的なアプローチによるデジタル化を実現するため、過去シーメンスは戦略的買収などを実施しており、「シーメンスが強みを持つオートメーション領域とともに、バーチャルの世界であるソフトウェア領域においても強化を行い、足りないピースを埋めてきた。その結果、現在多くの価値を顧客に提供できるようになった」(藤田氏)。
次に藤田氏は、工場におけるデジタルビジネス戦略の重要なキーワードとして「デジタルツイン」を紹介。デジタルツインとは、製品設計や生産プロセス、生産設備など工場と製品に関わる物理的なモノ/コト/サービスをデジタル上で再現し(デジタルの双子を作り)、それを制御、管理することである。では、なぜデジタルツインが重要なのか? 「それは、あらゆる事象を先にバーチャルで実現および検証してから、実態(現実世界)に落とし込む方が時間とコストの削減につながるからだ。また、バーチャルで実現した環境を横展開しやすいというメリットもある」と藤田氏は説明する。そして、こうしたデジタルツインのコンセプトを実現するのが同社のシミュレーション技術だという。
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