Trend Micro DIRECTION 講演レポート
脆弱性はなくならない、事故発生を前提とした対策があなたの工場を脅威から守る(2/2 ページ)
セキュリティ対策ソリューションの具体的な導入ケース
セキュリティ対策において重要なのは、ガイドラインの整備、対策の導入、人や組織の構築の3つだが、今回の講演では“対策の導入”にフォーカスし、トレンドマイクロが提供するソリューションを用いた具体的な導入ケースについて紹介。上田氏は「現状把握」「影響を与えずに既存設備を守る」「未然防止策で新規設備を守る」「ワーム感染被害から守る/復旧する/制御下に置く」の4つの観点から、具体的にどのようなソリューション導入、アプローチが可能かを示した。
現状把握
よくある顧客要求の1つとして、「現在、工場内で感染があるかどうかを確認したい」というものがあるという。こうした要求に対してトレンドマイクロでは、工場内の各端末の検査向けに、インストール不要のウイルス検索/駆除ツール「Trend Micro Portable Security 2」を提供する。これを工場内の各端末に挿して検査を実施することで、マルウェア感染などを検出し、迅速に駆除することができる。「Trend Micro Portable Security 2で検査を行うと、端末情報なども取得できるため、検査すると同時に、資産の棚卸しを行うことも可能だ」と上田氏。
ただし、Trend Micro Portable Security 2は、端末に挿しているときにしか感染を検知してくれない。そこで、これを補完するものとしてトレンドマイクロでは「Deep Discovery Inspector」を提供。Deep Discovery Inspectorは、ネットワークスイッチのミラーポートに接続して利用するため、工場内ネットワークに一切影響を与えることなく利用でき、異常な振る舞いやウイルス感染を迅速に検知できるハードウェアアプライアンスである。これら2つの製品により、現状把握という要求に応えることができるという。
影響を与えずに既存設備を守る
では、生産ラインの安定稼働やパフォーマンスに影響を与えずに既存設備を脅威から守るには、どうしたらよいか? まず考えるべきは、脅威の侵入をできるだけ防ぐことであり、データのやりとりが行われるネットワーク、持ち込み端末、USBメモリに関しては特に注意しなければならない。
例えば、工場とオフィスの間がネットワークでつながっている場合、そのネットワークから脆弱性を突いた脅威が侵入してくる可能性がある。そこで、トレンドマイクロでは、次世代侵入防止システム(IPS)製品である「TippingPoint Threat Protection System(TPS)」の設置を推奨している。これにより、オフィスあるいはインターネット側から脆弱性を突いた攻撃が工場側に侵入すること(あるいはその逆)を防いでくれる。また、近年工場とオフィス間でデータのやりとりが行われるケースが増えているが、そのような場合にはDMZ(DeMilitarized Zone)に置かれているファイルサーバの対策に「Trend Micro Deep Security」を用いることで、より安全にデータのやりとりが行えるようになるという。
設備機器のメンテナンスなどの際、外部から端末が持ち込まれるケースがある。このような場合、入管チェックの際にウイルス対策ソフトが導入され、最新のパターンファイルが適用されているかを目視でチェックする必要がある。しかし、これではチェックミスなどが発生する可能性もあり、不安が残る。そうした場合には、Trend Micro Portable Security 2が役立つ。持ち込み端末に挿すだけで迅速に感染の有無をチェックできるため、目視検査よりも確実かつ安心して利用できる。
そしてもう1つ、マルウェア感染などのきっかけになりがちなのが、USBメモリの利用だ。外部から持ち込まれるUSBメモリを、ウイルス対策ソフトが入っている端末に挿してウイルスチェックを行うというのも1つの手段だが、もう1つ有効な手段があるという。それは、ウイルス対策機能付きのUSBメモリを使用することだ。トレンドマイクロでは、ウイルス対策機能を搭載したUSBメモリ向け製品「Trend Micro USB Security」を提供。Trend Micro USB Securityが組み込まれたUSBメモリがストレージベンダー各社から販売されている。工場内で働く人たち全てが、このUSBメモリを使用することで、予期せぬマルウェア感染を防ぐことができる。
しかし、どんなに対策をしても脅威は何らかの形で侵入してくる可能性がある。重要なのは、それをどうやって早めに見つけられるかである。
トレンドマイクロでは、現状把握のときと同じようにTrend Micro Portable Security 2と、Deep Discovery Inspectorの2つの製品により、異常の早期検知を実現するという。具体的には、工場の稼働が停止するような時間、例えば週末や定期メンテナンスなどのタイミングを利用して、Trend Micro Portable Security 2を用いてチェックを実施し、感染が確認されたら駆除するという運用を行う。それと同時に、ネットワーク側で異常がないかを監視するDeep Discovery Inspectorを設置することで、端末側とネットワーク側の両面で異常検出を図るアプローチだ。例えば、Deep Discovery Inspectorで不審な動きを検知した場合、IPアドレスが分かるので、資産の棚卸しがしっかりとできていれば、すぐに該当の感染端末を特定でき、Trend Micro Portable Security 2で迅速に駆除を行うことができる。
未然防止策で新規設備を守る
「基本的には既存設備での対策と変わらないが、新規設備の場合は未然防止策としてプラスαの取り組みをすべきだ」(上田氏)という。
トレンドマイクロでは、軽快に動作するロックダウン型ウイルス対策製品「Trend Micro Safe Lock」を提供。あらかじめ動作してもよいアプリケーションだけをホワイトリストとして登録しておくことで、不正プログラムなどの実行を防ぐ。「これであれば、負荷のかかるウイルスチェックやパターンファイルの更新も不要で、生産ラインの安定稼働に影響を与えることもない」と上田氏。
また、さらにできることとして、上田氏は「工場内のネットワーク、そのインラインにIPS製品TippingPoint Threat Protection Systemを導入することも有効だ。例えば、WannaCryのような脅威から重要なセグメントを守るという観点からも実施しておきたい対策といえる」と述べる。
これらに加え、今後考えておくべきこととして、データストアサーバのセキュリティ対策があるという。「最近、工場の見える化や障害予兆検知などを実現するために、工場にデータストアサーバのようなものを設置するケースが増えている。ここには、Trend Micro Deep Securityが適用できる」(上田氏)
そしてもう1つ別のアプローチとして、PLC/DCS、IoTゲートウェイなどの機器メーカーに、リスク検知やシステム保護を実現するIoT機器向けセキュリティソリューション「Trend Micro IoT Security」のSDKを用いて機器を開発してもらうという考えだ。「こうした機器を用い、新規設備をできるだけセキュアな環境に作り上げていくことを推奨している」と上田氏は述べる。
ワーム感染被害から守る/復旧する/制御下に置く
ワームの感染被害に対してのアプローチとしては、「感染拡大防止、封じ込め、縮退運転」「感染端末/機器の特定」「端末からの駆除」の3つが重要であるとし、トレンドマイクロでは、それぞれに対してソリューションを提供している。
まず、脆弱性を突いた攻撃を遮断するという考えの下、TippingPoint Threat Protection Systemを導入すべきだとする。特に重要なセグメントや、工場と外部ネットワークとの境界に設置することで、感染被害を防ぐことができるという。また、感染を完全に防ぐことはできないという観点から、早期異常検知を行うDeep Discovery Inspectorと、迅速な駆除を行う手段としてTrend Micro Portable Security 2の活用を推奨している。
講演の最後、上田氏は「(最新OSやパッチ適用などができない)既存の工場では脆弱性がどうしても残ってしまうため、セキュリティインシデントが発生することを前提に対策を考えていかなければならない。そして、その対策を進めるに当たり、さまざまなケースで活用できるツールやソリューションがあるので、そうしたものを用いながら工場を守ってほしい。もちろん、対策の導入だけではなく、ガイドラインの整備や人材および組織の構築についても同時に取り組んでいく必要がある」と締めくくった。
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