第23回 品質機能展開シンポジウム 講演レポート
品質を作り込む「QFD」の有効性と課題、そしてさらなる活用に向けたアプローチ(2/2 ページ)
QFDの課題
現状、QFDの課題は多数あるという。1つ目は、二元表作成の手間と情報の抜け漏れだ。この課題に対しては「ITを徹底的に活用することで対応できる」と岡氏は述べる。2つ目は、さまざまな二元表を有効活用できていないという点だ。これには「外側二元表の概念、関係性にもっと有効な情報をひも付けることで対処すべきである」(岡氏)という。3つ目は、二元表から適切に情報を抽出できないことだ。岡氏は「情報を抽出し、表示を確実に行う仕組みの構築が必要だ」と指摘。さらに4つ目の他手法との連携の必要性に対しても、「QFDと他手法の連携をするための仕組みを作ることだ」(岡氏)という。そして、現状のQFDの課題と対応の視点、内容を表で整理している。
さらに「外側二元表」については、「普通使われる品質表の外側に、品質表の1つの軸に対して別の軸を設けた二元表」と定義している。基本二元表を形成する各次元の情報に対して、目的に応じてさまざまな軸と二元表を作成できる。「基本二元表があり、外側二元表があり、関連した情報を付加し、かつ二元表群から目的に応じた情報を抽出できる仕組みであるワークシートを持っているこの仕組み全体のことを『QFD-Advanced』と呼んでいる。この全体像(目的と手段の二元表による表現)をQFDの進化型と捉えている」(岡氏)。
先ほどの4つの課題に対応させると、二元表の作成にはITを活用して作りやすくし、情報整理には関連情報を付加してより“深化”させ、質を高める。情報を抽出することで整理した情報の活用を進め、それを通して他手法との連携を行うということになる。
この具体的な事例として、給紙ユニットの機能展開や設計パラメータを用いて相乗背反分析、品質工学との連携対応、FMEAの考え方を紹介した。このうち相乗背反分析(三角帽子に対応する外側二元表)では、ユニットでよく用いるゴムローラを使って説明。ここでは品質と機能の基本二元表、機能と設計パラメータの基本二元表、部品の使用と原材料製造工程の基本二元表。それに対して機能間影響、部品と組立工程間影響、原材料と製造工程間影響を三角帽子で表現できる。このうち原材料・製造工程間影響について詳しく解説した。
原材料・製造工程の影響の展開について理解するには、ブロック図を用いることが有用であるという。ブロック図では原材料から、製造工程を経て部材仕様への流れを表すが、複数の製造工程がある場合、工程間の中間生成物と下流の製造工程の間、中間生成物同士の影響を考慮する必要がある。
また、これを(機能)部材仕様を縦軸に、製造工程、原材料、中間生成物を横軸に取った二元表を使うことで、部材仕様への影響を示すことができる。しかし、これだけでは中間生成物への製造工程や原材料の影響を示すことはできない。それに対して、外側二元表として、相乗背反分析二元表を用いることで中間生成物を含めた原材料・製造工程間影響解析が可能となる。
「QFD-Advanced」手法をIT化した「iQUAVIS」
続いて、これらのQFD-Advancedという手法を具体的に実現するIT化ツール「iQUAVIS」(ISIDグループ内ソフト)の全体像を紹介した。
QFD-Advancedについてまとめると次のようになる。QFD-Advancedは、現状のQFDの抱えている課題に対応するだけでなく、QFDのさらなる“深化”と、さらなる“活用”を可能にする「進化型QFD」である。この進化型QFDであるQFD-Advancedを活用して成果を出すには、QFDのIT化ツールである「iQUAVIS」を用いることが有効だ。
QFD-Advancedの今後の展開については、技術の「見える化」から「使える化」として、今後「情報整理の“深化”」の観点から外側二元表の活用範囲の拡大を進める。その中で、(1)擦り合わせ型技術では、特に機能間影響が重要であり、相乗背反分析の中で、その機能間外側二元表に関して、作成方法の検討と事例の蓄積を継続する。(2)他手法との連携対応の1つとしてUSITオペレーターを活用したアイデア発想用二元表の作成を検討する。
また「整理した情報の活用対応」として、ワークシート機能の使い勝手を向上していくという。
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