第23回 品質機能展開シンポジウム 講演レポート
品質を作り込む「QFD」の有効性と課題、そしてさらなる活用に向けたアプローチ(1/2 ページ)
日本科学技術連盟が主催した「第23回 品質機能展開シンポジウム」において、ISIDエンジニアリング 技術顧問の岡建樹氏が登壇。「『QFD-Advanced』~QFDの更なる深化、更なる活用へ向けて~」をテーマに、QFDの有効性と現状の課題、そして進化型QFDといえる「QFD-Advanced」について詳しく説明した。
日本科学技術連盟は、このほど「第23回 品質機能展開シンポジウム」を開催した。「QFD(Quality Function Deployment)」は、新製品や新サービスの開発などで、顧客要求とそれを実現するための設計との関係を明確にし、確実に高い品質を作り込むことができる設計アプローチだ。QFDの実践により、顧客要求を製造工程まで順次展開することで、設計意図を確実に伝え、製品やサービスの品質を向上させることができる。また、QFDは製品の企画段階だけでなく、さまざまな検討段階においても利活用でき、今まで数多くの企業で実践されてきた有効な手法である。
今回のシンポジウムでは、講演を通じてQFDの現状と未来像を紹介。その中でISIDエンジニアリング 技術顧問の岡建樹氏が登壇し、「『QFD-Advanced』~QFDの更なる深化、更なる活用へ向けて~」をテーマに現状のQFDの課題と、それに対応した「QFD-Advanced」について詳しく説明した。
「機能」とは?
岡氏は1976年に現コニカミノルタに入社後、電子写真要素技術の開発、複写機やレーザービームプリンタ、プロダクションプリンタなどの製品開発に従事してきた。2009年から情報機器開発部門でQFDやQE(品質工学:Quality Engineering)などの手法を統合した「開発プロセス工学」(コニカミノルタの造語)の活用推進も兼務した。現在は、製造業向けエンジニアリングサービスなどを提供するISIDエンジニアリング(電通国際情報サービス100%出資)で技術顧問を務めている。
講演ではまず「機能」の定義について触れ、岡氏は「システムには対象物が必ずあり、その対象物の属性(性質)を変える(あるいは変えない)働きのことを機能という」と解説。基本的には「○○の◇◇を××する」と表現し、このうち○○が対象物、◇◇が属性(性質)、××が働きである。
機能の位置付けは、「品質」「モノ(部品)」とは異なる概念である。機能は「品質」「モノ」との間の関係性であり、また「品質」「モノ」との間に位置する、モノによる働き、振る舞いのことであるともいえる。「品質あるいは性能と機能は違う。機能と部品も違うジャンルの情報である」(岡氏)という。
「機能展開」とは?
続けて、「機能展開」についても説明した。商品やシステムは、簡単なものでない限り複数の機能で成立している。各機能はシステムの中で、何らかの関係性を持っており、その関係性を“見える化”することが、システム全体を理解するためには必要である。
また、機能と部品とを適切に関係付けるには、機能を下位の機能まで展開することが望まれる。展開するとは、ツリー状に階層構造で整理することを意味する。さらに、機能を展開するにはまず機能を分けることが必要だが、その切り口としては「空間」「時間」「因果関係」の3つがある。分けた下位機能を足し合わせる(組み合わせる)と上位の機能になるので、上位機能は下位機能の上段ともいえる。そして「機能展開を正しく示すには階層構造の表現と、ブロック図の両方があることが望ましい」(岡氏)と指摘。なお、QFDとは「新製品開発にかかわる次元の異なる情報を、二元表を利用しながら整理する方法」(玉川大学の永井氏の解釈)との定義もあるようだ。
ライターの製造を事例にして、この流れを整理(特に機能展開を中心とした流れの整理)すると、「顧客の要求品質」→「品質特性」→「機能展開」→「設計・パラメータ」→「工程・材料」というように、5つの次元ごとに情報を、機能展開を中心に展開して、それらを組み合わせて全体の流れを整理する。「目的」と「手段」に対応した2つの次元の情報を二元表に分け、複数の二元表を組み合わせて、全体像を分かりやすく統合していく。新製品開発のプロセスでは次元の異なる情報が存在する。これらを頭の中で整理するのは困難なため、こうした形で連ねていくことでまとめていく。
「QE」「TRIZ」などの他手法との連携活用について
QFDでは、他の手法との連携活用も重要である。今回、連携する他の手法として「品質工学(QE)」と「TRIZ(USIT)」を取り上げ、どう連携していくか、コニカミノルタで使われている開発プロセス工学を事例に説明した。
品質要求、品質特性、機能展開などの情報の二元表を作り、活用することで、機能的な課題、部品的な課題や矛盾関係を見いだして、それに対してTRIZ(USIT)により、新しいアイデアを出し合い、解決策を創出していく。その作り出した設計パラメータが使えるかどうかを確認し、抽出/整理した因子をQEで最適化する。
縦軸に開発フロー(目的)を取って、横軸に活用手法(手段)を取って情報を整理する。「整理した結果からノイズは誤差因子となり、また機能・パラメータ二元表は制御因子リストとなり、問題分析にもなる。問題が分かれば新しいアイデアを出して、新規制御因子を作ることができる。従来の制御因子と新規制御因子を組み合わせてそれに誤差因子を加えてパラメータ設計を行うことで最適化できる。その結果を、もとの二元表にフィードバックする。こうした形でQFDをベースにTRIZとQEを連携させている」(岡氏)。
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