Autodesk University Japan 2017/不二精機|事例
業界トップのおにぎり成形機メーカーが取り組んだ“3D CAD推進”(3/3 ページ)
きっかけは組織再編、さらなる開発効率化に向けて3D CADを再考
同社は、さらなる開発効率の向上を目的に、開発設計部を再編。これまで大型機、小型機で2つのグループが存在していたが、それぞれのメンバーが入り交じり、1つの同じ部屋に集結し、新しい部署として編成されたのだ。
「これまではスペースにも余裕があり、事務机とCAD環境は別々の場所にあった。CADは共有物として専用スペースに配置して、各人がそこに行って作業するようなスタイルをとっていた。しかし、組織の再編でスペースが狭くなり、各人の事務机にCADを置くようになった。その際、これまで使用してきたCAD(ハイエンド or ミッドレンジ)を自分の机に置くようになってしまい、使っているCADによって担当を決めなければならないという事態になってしまった」(前田氏)という。
この事態を受け、あらためて3D CADの再考を検討。本来の目的であった開発効率の向上に向けて動き出した。
まず手始めに、現状把握から開始。その上で今後の方向性を見極めようということで、開発設計部のメンバーを対象にアンケートを実施したという。「そうすると、意見なのか苦情なのか分からないものから、課題として認識しているのに放置しているものまでさまざまな回答があった。また、一方で必要なファイルが探しづらくなったという意見があったり、もう一方では2D CADよりも管理がしやすくなったという声があったりと、整理するのに苦労した」と前田氏。最終的に、集まった回答を「ソフト/ハード面」「ファイル管理」「設計手法」に分類し、図表にまとめることで、今後どのように3D CAD選定を進めるべきか、その方向性が見えてきたという。
アンケート結果を分析し、同社は「軽快」「ファイル管理」「簡単」というキーワードを掲げ、ハイエンド、ミッドレンジ、ノンヒストリーの3つの区分から3D CADを検証。「ハイエンドに関しては、これまで大型機のグループで使用してきたハイエンド3D CADの最新バージョンともう1種類、ミッドレンジに関しては小型機のグループで使用してきたCADの最新バージョンと『Autodesk Inventor』、そしてノンヒストリーに関しては2種を選び、検証を行った」(前田氏)という。
その結果、
- ハイエンド3D CADだと習得に時間がかかる
- 通常使用であれば機能的にミッドレンジでも十分
- 道具として使え、設計者が本来の設計業務に専念できる
- ヒストリー系CADの方が業務に適している
などの理由から、ミッドレンジ3D CADを選択することにし、Inventorに決定したという。その決め手について、前田氏は「これまで使用してきたミッドレンジ3D CAD環境は管理が行き届いておらず、その資産をずるずると使い続けることにメリットが見いだせなかった。InventorのBasicであればCADデータ管理ソフトの『Autodesk Vault』も含まれており、それも活用できるということで、Inventor/Vaultに決めた」と話す。
立ち上げは、はじめの取り組みが肝心
購入は大塚商会を通じて行い、導入に当たり立ち上げ支援サービスも依頼。設計ガイドラインや業務ルール策定などを事細かに決めたという。さらに、従来使用してきた3D CAD環境での課題や問題点を共有し、それらを解消するためのルールを作り、そのルールを継続的に守るという意識付けを行った。「こんな細かなことまで決めるのか!? というものもあったが、はじめの取り組み(取り決め)が肝心であるということがよく理解できた。立ち上げ時はもちろんのこと、運用開始後も支援サービスにかなり助けてもらった」と前田氏は振り返る。
2010年からInventor/Vaultの導入を開始し、少しずつライセンス数を増やし、2014年にはほぼ全ての新規開発で、全員がInventorを使用して業務を行うようになったという。ただ、その間も苦労はあったとし、「共有資産(部品データ)をゼロベースから再度準備したことや、DB管理の仕組みの周知徹底は大変だった。また、頻度は少ないが、どうしてもハイエンド3D CADを使わないと実現できないものもまれにあるので、その際は両方のCADを利用せざるを得ない」と前田氏。ただ、Inventor/Vaultの採用により、懸念事項であった使用しているCADによって担当が決まるといったような“人の問題”を解消することができたという。
その一方、ライセンスの数は増やしていったが、諸事情によりサブスクリプション契約の継続を止めていたため、今後の新規追加が困難となり、さらに旧バージョンのままでは機能、能力的にも不満が出始めていた。
そこで現在では、サブスクリプション版に更新し、Inventorのバージョンも2017に統一(現時点での最新はInventor 2018)。これにより「柔軟なライセンス管理が可能となり、新しいバージョンが使えるようになったことで、大規模アセンブリでのパフォーマンスも向上し、作業効率が上がった。今後新しい機能が追加されていけば、やれることも増えていくだろう」(前田氏)。
現在、同社ではInventor/Vaultを用い、流用設計やルールベース設計など、3次元設計による生産性向上、業務効率化に積極的に取り組んでいる。また、設計業務以外の3Dデータ活用も進んでおり、他システムとの連携や営業、販促支援などにも役立てられているという。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 設計現場の56.5%が3D CADを活用、2次元からの「移行予定なし」も16.7%
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