ジャストシステム Fastask 調査
AIで生じた過失、「メーカーが責任負うべき」が半数迫る
AIが進歩し生活に近づくにつれ、「AIは生活にどんな影響を及ぼすのか」が関心事となる。ジャストシステム Fastaskでの調査では、AIを無条件に信頼するのではなくある程度の“距離感”を置く傾向が浮かび上がった。
近年の技術進歩によって、AIの利用される範囲は拡大の一歩をたどっている。しかし、技術の進歩に追い付いていないといわれるのが「責任の所在」や「法整備」だ。自動車に関していえば、数年前より道路交通法や公道実験についての有識者検討会などが実施されており、AIの存在を前提とした法整備に向けての動きは進んでいる。
しかし、AI技術の利用される領域は自動運転車だけではない。家庭用ロボットや音声アシスタント、製造プラントの管理、家庭で用いられるHEMSの制御など、さまざまな分野での利用が想定できるだけに、「AIで仕事は奪われるか?」のような、AIがどのように仕事や家庭に関係して行くかは大きな関心事となる。
ジャストシステムは2017年8月30日、ネットリサーチサービス「Fastask」を利用したアンケート「人工知能(AI)&ロボット 月次定点調査(2017年7月度)」の結果を発表した。AIに対しては分析や提案を信じる傾向が現れながら、「何らかの法規制を検討すべき」との回答が7割を超え、AI利用に際して生じた過失責任については半数が「メーカーが責任負うべき」とするなど、AIを無条件に信頼するのではなくある程度の“距離感”を置く傾向が浮かび上がった。
「AI」は聞いたことあるが、具体的な事例は「知らない」
調査によるとAIの認知そのものは9割を超えているが、現在、AIを利用して提供されているサービス(物件や求人、飲食店、ファッションの提案など)の認知度は低く、約半数が「このサービスは知らない」と回答している。ただ、AIを用いた自動運転車については「期待している」(「とても期待している」と「どちらかというと期待している」の合計)が半数を超えている。
同様の期待値となったのが、医療現場における診断関連への利用だ。Watsonによるがん診断などといった事例が存在しているためか、「期待している」(「とても期待している」と「どちらかというと期待している」の合計)がこちらも半数を超えている。
領域によっては期待されているAIだが、それが自分の生活にどのように関係してくると考えられているのだろうか。一部では人間の仕事がAIやロボットに置き換えられると伝えられているが、アンケートへの回答でも「全てではないが、一部は置き換わると思う」が多数(約半数)を占めている。
AIが起こした事故の過失責任所在は?
高い関心を集めている自動運転車だが、AIによって制御される自動運転車が事故を起こした場合、その責任はどこにあるのか。2016年には自動運転モードで走行していたテスラ「Model S」が大型トレーラーと衝突し、Model Sの運転手が死亡するという事故が発生しており、大きな話題となった。
自動運転技術は「運転者が全ての判断を行うこと」を前提としない。加えて、「自動車の高度化による運転者補助(自動車の自律的走行)」という側面と、「交通システムの一部として自動車が組み込まれる」という2つの側面を有する。そのため、単純に「利用者とメーカー、どちらに責任があるか」という議論にならない可能性も高い。
ただ、今回の調査では主体を自動運転車ではなくAIとし、AIの過失によって事故が起こった際、「利用者」と「メーカー」のどちらがより責任を持つべきかという質問を行ったところ、「どちらかといえば製造したメーカー側に過失責任があると思う」が33.4%と最も多くの支持を得た。しかしながら、「製造したメーカー側に過失責任があると思う」(15.1%)と「どちらかといえば利用者側に過失責任があると思う」(22.7%)も高い支持を得ており、回答者によって判断が分かれる問題であることが分かった。
法整備の面ではEUの法務委員会が2017年1月にロボットに関して法規制(法整備)を進めるべきとの報告書(Robots: Legal Affairs Committee calls for EU-wide rules)を提出して話題となった。AIとロボットはイコールではないが、これまでに無かった存在が人々の生活に近づくという意味では類する存在といえる。
アンケートではAIやロボットに対する法規制について、回答者に近い考えを尋ねた。最も多かったものは「人工知能(AI)やロボットについて、日本でも法律による規制を具体的に検討しはじめるべきだと思う」(52.2%)で、「すぐ規制すべき」と合わせると回答者の7割強(73.9%)がAIやロボットに対する法規制へ賛同の意を示している。
アンケート調査「人工知能(AI)&ロボット月次定点調査 (2017年7月度)」の調査期間は2017年7月28日~31日で、調査対象は15歳~69歳の男女1100人。調査結果はMarketing Research CampのWebページより無償にてダウンロード可能となっている。
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