DMS2017 ストラタシス・ジャパン
試作の効率化や小ロット生産の要求に応える「デジタルモールド」がさらに進化
DMS2017に出展したストラタシス・ジャパンのブースでは、StratasysのPolyJet 3Dプリンタで製作した樹脂型を用いた加工技術「デジタルモールド」を訴求。前回のDMS2016からさらに進化した同技術について、ブース内でプレゼンテーションが行われた。
多品種小ロット生産のニーズや短納期化の要求が厳しくなる中、製品開発における試作の効率化は、設計、製造現場の課題の1つとなっている。
先日開催された「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(会期:2017年6月21~23日)に出展したストラタシス・ジャパンのブースでは、StratasysのPolyJet 3Dプリンタで製作した樹脂型を用いた加工技術「デジタルモールド」を訴求。前回のDMS2016からさらに進化した同技術について、ブース内でプレゼンテーションが行われた。
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デジタルモールドは、長野県の設計会社であるスワニーが考案したもので、3Dプリント樹脂型で、ABS、PS、POM、PPなどの熱可塑性樹脂を射出成形する新しい加工技術である。また同技術はプレス、メタルインジェクションモールド(MIM)にも応用可能で、金属部品の試作も行える。ちなみに、同技術でプレス成形を行う「デジタルモールド・プレス」は中辻金型工業が、同じく金属粉末射出成形を行う「デジタルモールド・メタル」はキャステムが展開している。3Dプリンタで素早く樹脂型を作り、量産と同じ材料で試作品の製作や小ロット生産が実現できるため、大幅な試作の効率化と品質の作り込み、そして金型製作コストの削減が可能となる。
樹脂型なのになぜ溶けない、割れないのか? 進化するデジタルモールド
3D CADで製品設計を行った後、そのデータを基に型割りをし、StratasysのConnexシリーズの3Dプリンタ(会場では「Objet260 Connex」を使用)で樹脂型を造形する。スワニー 代表取締役社長の橋爪良博氏が手にしている樹脂型(画像1)の造形時間は約4時間だという。
樹脂型の材料は、液体のアクリル系紫外線硬化樹脂で、UVランプを照射しながら1層ずつ積層していく。「Stratasysの3Dプリンタは、非常に表現力が豊で、細かなシボや彫刻もきれいに再現してくれる」(橋爪氏)。展示会場には、型締め力6tの射出成形機を用意。造形した樹脂型をセットし、量産グレードのABS樹脂で射出成形する様子を披露した。
橋爪氏は出来上がったサンプルを手に、「ABS樹脂であれば成形温度が210~230℃程度。6tの力で型締めもしっかりして、樹脂圧もかけて、成形する。実際に出来上がったものは、シボや彫刻がきれいに再現できており、裏側の細かなリブもきちんとできている。このサイズの型であればABS樹脂で150ショットくらいは打てるだろう」と話す。
StratasysのPolyJet 3Dプリンタで造形した樹脂型の荷重たわみ温度(熱変形温度)はおよそ70℃だという。なぜ210℃に熱したABS樹脂を流し込んできちんと離型するのか? 6tで型締めをしてなぜ型が割れないのか? それは、Connexシリーズが2種類の紫外線硬化樹脂を混合することで100種類以上の異なった物性の材料を作り出すことができるからだという。
デジタルモールドの場合、耐久性と耐熱性が高い「デジタルABS」という材料を作り出すことで樹脂型を実現。外側は硬く耐熱性を持たせ、内部は靭(じん)性を持たせてある。ベースが紫外線硬化樹脂ということもあり、200℃前後の樹脂が流れ込んでも大きな変形などせずにきちんと離型(成形品がきれいに型から外れる)できるという。「デモで使用している型は、外側と内側の物性を変えた2層構造になっている(画像4)。これが今回のデジタルモールドの大きなポイントである。1つの型の中で物性を制御できるのは、Stratasysの3Dプリンタだからこそできることだ。物性をコントロールすることで型の強度や耐久性を改善したり、品質を高めたりできる。また、金属の金型ではできないような表現や形状にもトライし、デジタルモールドのさらなる進化に取り組んでいる」(橋爪氏)。
このように試作の効率化および小ロット生産に大きく貢献できるデジタルモールドだが、スワニーでは教育にも役立っているという。「若いスタッフにどんどん樹脂型を作らせて、たくさん失敗させている。『うまく樹脂が流れませんでした!』『じゃあもう1回作ってみなよ』といった具合にとにかく作らせている。型割りをしたことのないスタッフが多くの失敗から学び、型製作のレベルが少しずつ上がってきている。それと同時に設計品質も日々向上している」と橋爪氏は述べる。
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