IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する(3)
ガラパゴス化しつつある日本の製造業、取り残されるプログラミング言語(3/3 ページ)
世界は既に変化を果たした
何事も変化は痛みを伴うものである。これからIIoTという生産設備技術とITの融合を果たそうとする壮大なモノづくりの世界が、国内ではいまだに1970年代から使い続けられているラダー言語に依存している。それと比較して、欧州で現在販売されているPLCのほぼ100%が国際標準規格に準拠している。米国においてもほぼ同等であり、欧州および米国ではこの変化は完了したといえる。これからモノづくりはますますグローバル化していく。そうした中、日本独自のスタイルが今後も継続していくとは考えられない。どこかで変化が求められることであろう。
これまでPLCは十分な速度と性能を実現するために、特殊な専用チップ(ASIC)を設計する必要があり、これには膨大な開発コストを要するため参入障壁が極めて高かった。しかし、最近ではARMといった組み込み機器向け汎用CPUの性能向上により、汎用CPUと汎用ソフトウェアを組み合わせれば、昔と比較して簡単にPLCを構築できるようになった。そのため、欧州ではこの十数年のうちに産業用コントローラーの開発に参入する企業が飛躍的に伸びている。そうした中で重要な役割を果たしたのが、汎用PLC/Motionソフトウェア「CODESYS」の存在である。世の中にはさまざまな産業用コントローラーが存在するが、これまでにCODESYSは400社を超すコントローラーメーカーを世の中に輩出した。汎用CPUとCODESYSを組み合わせれば、産業用コントローラーを比較的容易に構築できるからだ。
前回、今回と2回続けてフィールドバス、PLCプログラム言語の観点から“産業用コントローラーのガラパゴス化”を解説した。いずれもIIoTの実現を目指す以前の問題である。次回は、いよいよ「つながる工場」を構築するために、工場内と工場外のシステムが相互に接続される通信について解説する。ここでも、フィールドバスやPLCプログラム言語の場合と同様に、これまでの古い技術の延長ではなく、ITを産業機器に適応するためのパラダイムシフトが求められる。(次回に続く)
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著者紹介:
リンクス 代表取締役 村上 慶(むらかみ けい)
1996年4月、筑波大学入学後、在学中の1999年4月、オーストラリアのウロンゴン(Wollongong)大学に国費留学、工学部にてコンピュータサイエンスを学ぶ。2001年3月、筑波大学第三学群工学システム学類を卒業後、同年4月、リンクスに入社。主に自動車、航空宇宙の分野における高速フィードバック制御の開発支援ツールであるdSPACE社製品の国内普及に従事し、国内におけるトップシェア製品となる。2003年、同社取締役、2005年7月、同社代表取締役に就任。
同社代表取締役に就任後は、画像処理ソフトウェアHALCONを国内シェアトップに成長させ、産業用カメラの世界的なリーディングカンパニーであるBasler社と日本国内における総代理店契約を締結するなど、高度な技術レベルと高品質なサービスをバックボーンとした技術商社として確固たる地位を築く。次のビジネスの柱として2012年7月にエンベデッドシステム事業部を発足し、3S-SmartSoftware Solutions社の国内総代理店となる。(2016年10月現在)
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IIoT時代にこそ、日本のモノづくりが世界で強みを発揮する
IoT、インダストリー4.0がこれほどまでに盛り上がり続けるのは、その将来像への賛同だけではなく「現時点で材料となる技術はそろっていて、決して夢物語ではない」と多くの人が感じているためである。日本のモノづくりは改善を重ねることで着実に世界をリードしてきたが、第4次産業革命で求められる非線形なモノづくりの進化をリードしていくためには、「製造現場のガラパゴス化」を解消することが急務だ。本連載では、日本のみならず世界的に盛り上がりを見せるIIoTの技術で製造業はどう変化していくのか、日本の製造業がその変化に追従していくためのボトルネックとなる国内製造業のガラパゴス化について解説する。
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