戦略コンサルの論考を変革のヒントに(3)
B2B向けIoT市場、プロバイダーが避けるべき“5つの落とし穴”(3/3 ページ)
4.事業拡大に必要な資金を確保していない
IoTは、世界中でさまざまなM&A(合併・買収)活動の引き金になっており、ベイン・アンド・カンパニーによると大手ベンダー各社は合わせて750億米ドルを超える資金を投じる見込みです。例えば米IBMは2015年に、「IoTサービスを4年以内に市場に投入するために、30億米ドルを投資する」と発表しています。
ただしベイン・アンド・カンパニーは、IoTベンダー各社はまだ、商材を開発し、継続的なイノベーションに取り組んで、市場に提供していくという一連の活動に必要な投資額を低く見積もっていると指摘します。通信事業者や端末メーカー、ITベンダーの一部は、事業買収によってIoTビジネスを構築する複数の階層に対して横断的な投資をしており、その金額は10億~40億米ドルもしくはそれ以上に達します。しかし、そうした企業ですら、他の企業とうまく協業しない限り、予想を大幅に超える投資が必要になったり、最大手のアナリティクスベンダーとの競合に敗れるリスクがあります。
5.人材を既存ビジネスからの配置転換で賄う
企業が新規分野に乗り出すとき、社内にいる既存の人材だけで着手するというアプローチもありますが、IoTビジネスでは成功の可能性を狭めてしまいます。ベイン・アンド・カンパニーは、IoTビジネスでは新たな能力と業界経験、起業家的特性を備えた人材が必要だとしていますが、その半面、同社の調査では「適切な人材を適切な役割に配置できている」と答えた企業はわずか10%でした。IoT市場を狙うベンダーは、ターゲット業界に精通し、パートナー企業と連携して、早期導入を検討するユーザー企業の背中を押せるような人材を雇用する必要があります。
大手ベンダーこそIoT市場の果実に最も近い
IoT領域では、スマートロック(錠前)やドローンなど、先鋭的なモノを提案するスタートアップ企業にどうしても世間の耳目が集まりがちです。しかしベイン・アンド・カンパニーは、テクノロジーと通信の大手企業こそ、IoTビジネスで優位性があると述べています。大手企業はイノベーションにおける確固たる歴史がある上に、商業的な成功をこれまでに収めており、事業運営も洗練されています。そして何より、そうした大企業を信頼する幅広い顧客基盤を持っているからです。
落とし穴を認識した上で、適切な資金と人材を確保し、パートナーシップを推進すれば、大きな見返りを手にできる可能性が高まるでしょう。
併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
- 通信事業者58社に聞く、5G動向調査レポート「けん引役はIoT」
- 5Gは「IoTデバイスを制御する」ことだけが目標?
- モノのインターネットを支える技術とその可能性
- IoTの運用管理におけるネットワーク 7つの課題
IoT関連情報をまとめてチェック:
IoT(Internet of Things:モノのインターネット)にまつわる業界・企業動向、技術トレンド、IoT活用ソリューション、IoT構築支援サービスなどの情報をまとめてお届けします(特集ページはこちら)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
戦略コンサルの論考を変革のヒントに
大企業の上級役職者や経営企画室メンバーでもなければ、仕事で関わる機会がほとんどない戦略コンサルティング企業。でも、モノづくり業界の皆さんにも役立つ論考や調査レポートを、実はたくさん発信しているのです。そうした情報を筆者がピックアップして紹介する連載。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー