NIDays 2016 講演レポート
IoTシステムの構築は「計測」なくして語れない! ~オンライン状態監視システムの構築事例から学ぶ~(3/4 ページ)
安全管理と省エネを実現する状態監視システム
それでは、イー・アイ・ソルが実際に顧客に導入した、状態監視システムの構築事例を紹介しよう。
錢高組に導入した、山岳トンネル工事現場の安全管理および省エネを目的とした状態監視システムの例である。オフィスビルや商業施設などの建築事業と、トンネルや橋梁といった土木事業を手掛ける錢高組は、近年のIT技術の発展・普及、国土交通省が推進する「i-Construction」などを背景に、建築/土木業界におけるIT活用に取り組み始めていた。そうした中、以前から課題であった山岳トンネル工事の安全管理向上と電気代削減に対し、IT技術を駆使したマネジメントシステムの構築を目指すこととなった。
イー・アイ・ソルは、錢高組が理想とする山岳トンネル工事向けのマネジメントシステムの構想(IoT技術を活用し、作業員の位置把握や坑内の照明/ファンの制御を最適化したい)に対し、NIのLabVIEWおよび「CompactRIO」を使用した導入コストを抑えた、実現可能性の高い提案を実施。両社共同で、山岳トンネルの安全対策・省エネ制御システム「TUNNEL EYE」を開発するに至り、高松自動車道 志度トンネルの工事現場で試験導入された。
錢高組 技術本部 技術研究所 白石雅嗣氏は、「開発を始めるに当たり、まずイー・アイ・ソルからシステム構築に向けた手順を明確に示してもらった。すぐに本システムを構築するのではなく、事前の基礎実験を行いテスト・計測を実施するところから始めた」と振り返る。例えば、トンネルの入坑管理に用いるRFIDタグがきちんと検知できるか、制御条件とファンとの連動がうまくいくかなど含め、本システムの構築前にトンネル現場で各種基礎実験を行い、OKと判断してから本格的なシステム開発を始めたという。
トンネル坑内では、各機器の配置とともに、100mおきにCompactRIOを配置し、有線ネットワークを構築。電気で稼働するトンネル施工機械、濃度計、人の位置を検知するRFIDリーダーなどを設置して、これらの情報をCompactRIOで収集し、事務所のサーバでデータ処理を行い、作業員や車両の検知、粉じんや可燃性ガスなどの濃度測定、換気ファンや照明といった各種電気機器の監視/制御を行った。
「実際の機器の配置・取り付けについては、極力現場作業が発生しないように省力化した。CompactRIOを含む制御盤の設置については、通常のトンネルの施工用電源も配置しないといけないので、その作業の合間に設置が行えるように構成。事前に、装置などをボックスに収納して細かな現地配線をなくし、設置作業を減らす工夫を施した」と白石氏は説明する。
開発期間はわずか3カ月
CompactRIOによって構成された制御端末は、高松自動車道 志度トンネルの工事現場(坑内)に導入され、約10カ月間にもおよぶトンネル施工期間、正常稼働し続けたという。こうした堅牢性・耐環境に優れている点の他にも、NI製品を選定した理由があるという。
まず白石氏が挙げたのは、CompactRIOがモジュール形式を採用している点だ。今後、異なる計測が必要になってもモジュールを追加・変更するだけで、新たな測定データを取得できる。また、CompactRIOがネットワーク組み込み型であるため、不具合に対するプログラム修正を遠隔から行えることも、作業員の人命を預かる上で重要な点だったとしている。実際、イー・アイ・ソルから遠隔で現場に設置されたCompactRIOのソフトウェア変更を行い、スムーズな改善が行えたとしている。
さらに、短期間のシステム構築にもNI製品が寄与したという。「システム構築前に行った基礎実験の際に開発したWindowsベースのLabVIEWプログラムを、そのまま本番システムの構築に流用。そして、CompactRIOでRTOS化、FPGA化を行うことができた。開発期間は約3カ月だった」(白石氏)。
その他、計測データベースの構築や“見える化”を実現するWebアプリの開発についても全てイー・アイ・ソルが実施。CompactRIOからはデータのアップロードだけでなく、サーバからの指令に基づき制御を行うダウンストリームも実現した。
換気ファン制御で40%以上の電力を削減
導入効果はどうだったのか。実際、トンネル工事中に行われる作業工程(14種類)を判別・分析し、作業環境のガス濃度や粉じん、作業員の位置などに応じた換気ファン、照明の自動制御を行うことができたという。「設置後も遠隔から制御プログラムを修正・更新しながら、自動制御の精度を高める調整を繰り返し行い、システムを構築できた」と白石氏。これにより、安全な作業環境の確保と同時に、使用電力量の削減が可能となり、特に換気ファンの制御では40%以上の削減に貢献したという。
完成後、同システムをTUNNEL EYEと名付け、イー・アイ・ソルが販売を開始。国土交通省の新技術システム「NETIS」にも正式登録された。「今回の取り組みでは、安全管理の向上と省エネの実現が証明できた。今後も自社内で積極的に活用していきたい。また、TUNNEL EYEはイー・アイ・ソルを通じて購入できる。トンネル工事以外でも使用できるように設計されているため、その他の工事や工場内の設備監視などにも積極的に活用してもらいたいと考えている」(白石氏)。
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