沖縄モノづくり新時代(4)
3Dゲーム開発の第一人者が地方都市「沖縄」で今考えていること(3/3 ページ)
課題は先端技術に対する「距離感」
筆者 先端技術を沖縄で事業展開する際、課題に感じていることを教えてください。
武田氏 沖縄では先端的な技術に興味はあっても、自分には関係のない遠い存在として考えている方が多く、説明に苦労してきましたし、今も苦労しています。
インタラクティブラボラトリー沖縄を創業した当初、ある方にARについて紹介した際、「よく分からないから今後はその話をしないでくれ」といわれてがっかりした記憶があります。今では、その方も新しい技術に興味を持ってくれるようになりましたが。それに、3~4年前まではWi-Fiですら「それは何なの? ワイフィー?」といわれることが多くありました。沖縄は東京と比較すると、技術に対する理解が数年間ビハインドしているという印象です。
この他、システム開発の通常コストが、沖縄の人件費で考えると非常に高く見えてしまうという点にも苦労させられました。もともと、中小企業は資金的余力があまりないのですが、沖縄はそれが顕著です。助成金を使った開発に慣れているので、新たなモノを作るときには助成金の話にしか「乗ってこない」というような状況があり、新しいモノづくりを通常のビジネスとして進めてきた人間には、カルチャーショックでした。
しかし今では、当社の活動も沖縄県内でさまざまな方に知っていただけるようになってきました。「助成金が採択されたので一緒に開発しませんか?」といった提案を逆にもらうケースも出てきて、だいぶ動きやすくなってきています。
数年前から強く感じていること――目線の先は日本より世界へ
筆者 将来的に沖縄のモノづくり業界が目指すべき姿、ビジョンをどのように考えられているのか教えてください。
武田氏 沖縄は観光分野において、世界に誇れる自然(コンテンツ)を多く持っています。これは、今後より一層、重要になってくると考えています。そのコンテンツを世界に発信していくために、新しい技術を積極的に活用していく必要があります(図3)。
イメージとしては、ITシステムやモノづくりの技術が沖縄の自然の中で前面に出てくるのでなく、太陽光や波力といった環境発電技術や、IoT技術、ロボット技術などをインフラとしてふんだんに取り入れながら、全体をネットワークで有機的につなぐ――。これによって、観光に訪れた方には大きな利便性と楽しみを与えられる、沖縄をそんな世界最先端の地域にしていけたらと願っています。
逆に、そのような地域を独自で目指さなければ、沖縄はどんどん世の中から乗り遅れてしまうという危機感があります。日本の製造業は元気がありません。その日本ばかりを見ていては、沖縄のITを含めたモノづくり分野が絶望的に遅れてしまい、沖縄のさまざまな課題が解決できなくなるのは必然です。
確かに今は、新しい技術を自ら積極的に取り入れて、新しいモノづくりをしようと挑戦している沖縄企業は、まだ少ないかもしれません。しかし、今は点と点であっても、今後それが線になり、面になり、将来的に面がどんどんと厚くなっていくという姿を思い描いています。
日本の製造業に元気のない今が、沖縄のビハインドを取り返す大きなチャンスです。若い世代が非常に多いなど、沖縄には可能性が間違いなくあります。最先端の技術を世界から取り入れて日本本土よりも先に行く存在になってほしい。そして、沖縄が逆に本土に刺激を与えられる存在を目指そう、そのように強く思います。
筆者からのメッセージ:「地方×モノづくり」で課題解決、魅力発掘!
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や、魅力発掘の後押しとなる――。このような考えの下、「沖縄モノづくり新時代」と題した本連載では、沖縄という地方を例に、モノづくり/エンジニアリング技術を活用し、地方が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む事例や、地方の魅力を掘り起こしていく事例に焦点を当てていく。
漁業や農業、林業といった第一次産業のみならず、観光・サービス業などさまざまな領域に深く関わり、地方の活性化を下支えするモノづくり/エンジニアリングの話題に注目してほしい。
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沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
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