沖縄モノづくり新時代(3)
「沖縄観光×超小型EV」、乗って分かった真の魅力と普及への壁(2/3 ページ)
超小型EV=移動手段+遊び(アクティビティー)
現在、実証実験を進める本部町観光協会が超小型EVに興味を持ったきっかけは、3年ほど前に那覇市で開催された超小型EV活用の協議会だったという。その後、2015年3月ごろから、本部町で超小型EVを活用しようという検討を具体的にスタートさせた。
自動車でもバイクでもない新しい交通手段である超小型EVなら、観光スポット間の移動手段としてだけではなく、移動そのものが遊び(アクティビティー)という提案ができる。これがうまく観光客に受け入れられれば、観光を「点」から「面」へと変え、1つのストーリーで紹介するというビジョンを実現できる可能性を秘める。
観光協会の担当者に、観光客の皆さんにどのような言葉で特長や魅力を伝えているのですか? と聞くと「まず乗ってみてください。乗れば、超小型EVの魅力が分かりますよ」という。
試乗した人の多くが「面白い」と答えるというが、果たして実際に乗ってみるとどうなのか――。本部町観光協会やトヨタ自動車の担当者から話を聞いた後、超小型EVに試乗してみることにした。レンタル料金は、2時間で3000円(税別)。夕方の時間帯だったこともあり、1時間だけ利用して、瀬底島を中心にしたモデルコースを巡ることにした(図3)。
超小型EVに試乗――10分後に起こった心境変化
筆者の超小型EVに対するイメージは、軽自動車よりシンプルな乗り物で簡単に止まれて、すぐに降りられるので便利、ドアがなく周囲を遮るものが布製カバーなので直接風を感じることができて気持ちよさそう、といったものだった。
乗り始めて5分。最初の印象は、あまり良いものではなかった。道路の少しの凸凹がハンドルに伝わり、軽自動車よりも不安定に感じる。坂ではアクセルをベタ踏みしてもスピードがなかなか上がらないため、後ろから普通乗用車にあおられたらどうしようという不安が脳裏をよぎる。
まぁ、サイズも小さいし、こんなものか――。そんな印象が大きく変わったのは、乗り始めて10分ほどたった後だ。運転にも慣れてきて緊張がほぐれ、両手でがっちりハンドルを握っていたのが片手だけになり、足を崩してリラックスモードに入る。肩の力が抜けてからしばらくたったころ、はたと気付く。
「あれ、瀬底島ってこんなにも花が多かったっけ?」。
筆者は瀬底島に、かれこれ5回以上も来たことがある。しかし、花が多いなんて感じたのは今回が初めてである。ブーゲンビリア、ヒルガオ、ハイビスカス、ベゴニア、コスモス――。なぜだろうか、はっきりと理由は分からないが、道路の傍らに咲く花が、やたらと目に入るのである(図4)。
やたらと目に入るのは、花だけではない。台風の暴風を防ぐために植えられた「フクギ」、沖縄独特のデザインのお墓である「亀甲墓」、魔除けとして作られた「シーサー」、沖縄方言で「ヒヌカン」と呼ぶ神聖なスポット、「サトウキビ畑」など、瀬底島で生活に溶け込んだ沖縄ならではのものが、どんどん目に入ってくる(図5)。
超小型EVを運転するときの目線の低さだろうか、それとも地面との近さだろうか。はたまた、ドアがなく周囲と遮るものが布製カバーであるためなのか――。理由ははっきりとは分からないが、今まで全く意識していなかったものに気付くのである(図6)。
繰り返しになるが、筆者はかれこれ5回以上も同じ場所(瀬底島)を訪れたことがある。しかし、今回の試乗で発見した幾つかのスポットを、これまでの訪問で一度も意識したことはなかった。これには自分自身のことながら、非常に驚いた。
結局、モデルコースそっちのけで寄り道ばかりしてしまい、「瀬底島散策」「サトウキビ畑」「山川酒造(酒造見学)」「本部町営市場内を散策」というモデルコースのうち、巡ることができたのは「瀬底島散策」だけであった。
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沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
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