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» 2018年12月05日 09時00分 公開

インドネシアにおける日系製造業のIT事情(8):現地IT市場の変化を読む――2019年に向けた取り組みと中長期的な視点 (1/2)

インドネシアに工場を持つ、日系製造業のIT事情とは? 中国に3年、タイに3年駐在した経験のある筆者が、それらの国と比較したインドネシア特有のIT導入の実態について現地からレポート。第8回では、2019年に向けたインドネシア市場の動きと筆者が訪問した幾つかの工場におけるIT利用の状況についてレポートする。

[藤井賢一郎/アスプローバ,TechFactory]

活況なタイ市場

 いきなり他国の話で恐縮だが、アスプローバ(以下、当社)製品のタイ市場は、筆者が中国で起こった尖閣問題後タイに駐在していたときと同様に活況になってきた。もともとの景気回復に加え、中国と米国の貿易戦争の影響で、尖閣問題時同様に、中国の日系工場がタイに生産を移管しようとしているからである。両国の関係は予断を許さないが、リスクヘッジのため、再度サプライチェーンを見直す流れは変わらないのではないか? 当社製品の場合、どんなに大きな工場でも、生産量が増え、多品種生産にならないと顧客は導入を検討してくれない。インドネシアに駐在を始めてから、その状況を思い知らされた。

2019年のインドネシア市場

 では現在毎週のように新規訪問しているインドネシアの日系工場はどうかというと、来年(2019年)の話をしても先が見通せない。インドネシア自体、2019年は大統領選挙がある年で大型の公共投資の話は多く出てきているが、その他産業の回復は思わしくない。例えば、先週訪問した顧客は、日本では当社製品のユーザーである上に、会社自体は株式市場一部上場の大手であるが、当社の提案に対して、「まだ先が見えない。現在利用しているERPの有効利用が先の問題。生産スケジューラは独自開発のものがある」などの返事で、箸にも棒にもかからない。そのような状況の中でも、化学材料系の工場や食品工場などでは、「来期の予算を確保するので、見積もりがほしい」などとうれしい回答もあり、業種を絞ったアプローチが必要と感じている。

 また、ルピア安のため2018年後半になって、積極的に外資企業を受け入れようとするインドネシア政府の施策(外資企業の出資比率を制限するネガティブリスト[投資規制分野]の改正、投資家へのタックスホリデー[法人税一時免税措置]や法人税減税などを盛り込む)にも期待できるが、新規工場や中小工場には当社製品は向かない。

 来期の大統領選挙だが、タイの軍事政権の民主化問題も含めて、東南アジア各国の経済状況は時の政権に大きく影響される。インドネシアでいえば、これまで外資導入を積極的に進めてきた現在のジョコ政権が残るのか? イスラム系の政権になるのか? によっても、外需/内需のいずれにポテンシャルを置いた政策がとられるのかを見てみたい。


システム導入を確実に成功させるノウハウはあるのか?

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