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» 2018年02月19日 09時00分 公開

製造業のIoTスペシャリストを目指そう(7):IoT時代に求められる標準化「ISO 22400」 (1/2)

製造業におけるIoT推進に欠かせない要素の1つが「標準化」です。つながっていても、指標の標準化がなされなければデータは意味の多くを失いかねません。MESの標準化を図った「ISO 22400」について学びます。

[IoT検定制度委員会,TechFactory]

はじめに

 製造業におけるIoT(Internet of Things)を推進する上で、欠かすことができないのが標準化です。

 「モノ」がつながる上でも、データを有効活用する上でもこの「標準化」がなされていないとIoTは意味を成さないからです。例えば、生産工場の加工設備やシステムを接続する通信プロトコルが異なると接続できず、取得したデータのフォーマットなどの形式が異なると互換性が無くなりデータを活用できなくなります。

 そもそも日本においては、作業や業務の標準化も進んでおらず、諸外国と比べ、標準化作業や標準化された中での業務推進は苦手な領域と言ってもいいでしょう。

生産指標の標準化

 通信プロトコルやデータフォーマットの互換性は、誰もが重要視する標準化の項目です。加えて、「つながる工場」や「IoTによる生産現場の改善」を考える上で重要な標準化の項目として生産指標があります。

 この生産指標はKPI(key performance indicator)として、各生産工場などで使用されてきました。しかしながら、各社において使用している生産指標はバラバラであり、同じ会社でも工場(拠点)が異なると使用している生産指標が異なる場合や、同じ生産指標であっても求めるための計算式が異なることもあります。

 生産現場の改善を図る上で、この生産指標の標準化は重要な意味を持つことが少なくありません。現場の担当者は長年にわたる改善を積み重ねており、その努力が日本の製造業を現在の地位に押し上げたと言ってもいいでしょう。しかし、IoTやAIを活用することで、改善の余地が残っている状況でも、長年にわたる改善の経験が足枷になり、これ以上の改善は難しいとの先入観があるのも事実です。

 また、慣れ親しんだ方法を変えるということにも、現場の担当者は抵抗を示すことも多くあります。コンサルタントがAIやIoTを用いた改善を提案しても、実際にはなかなかうまくは進んでくれません。ただし、他工場と同じ土俵で比べられる指標がある場合は、その数値を示すだけで、現場の担当者が自ら改善活動に取り組み、結果としてコンサルタントが何もしなくても改善が進むことも良くあります。

シックスシグマによる改善

 業務や品質の改善手法の1つとして、「シックスシグマ」(Six Sigma)があります。

 このシックスシグマの特徴の1つに定量的データを基にした解析があり、DMAIC(Define:定義、Measure:測定、Analyze:分析、Improve:改善、Control:定着)と呼ばれる5つのステップを踏みながら改善を進めるのも特徴です。

 私がIoTによる生産現場改善を実施する際、このシックスシグマの手法を多く利用します。ですが、Define(定義)フェーズで、収集するデータや改善の指標を決定することに時間を要することが多くあります。

 一方、既に標準化されている指標をもとにデータを測定している場合は、既にMeasure(測定)フェーズも実施できていることになり、Analyze(分析)フェーズから実施ことも可能であるため、改善までの時間を短縮することができます。IoTでの業務改善において、標準化がいかに大きなメリットになり得るのか、お分かりいただけるかと思います。

IoT時代の生産指標

 生産現場へのIoT導入を検討する際には、「ビジネスレベルのシステムレイヤー」「生産/製造レベルのシステムレイヤー」「コントローラーレベルのシステムレイヤー」という3層をいかに有効につなげるかということが重要という話を聞いたことがある方も多いかと思います。

 最上位となるビジネスレベルのシステムレイヤーにおいては、財務諸表を始めとして、比較可能かつ改善の最終ゴールとなるKGI(Key Goal Indicator)になる指標が多数あります。最終的にはこの指標が最重要になります。

 このレイヤーにつながる部分が生産/製造レベルのシステムレイヤーであり、MES(Manufacturing Execution System)となります。生産管理システムの一部であるMES(Manufacturing Execution System)は、製造実行システムと呼ばれ、工場の生産ラインを監視・管理するシステムです。このMESの標準化を図ったのが「ISO 22400」です。

今回の問題

 それでは、IoT関連の知識・スキルアップに役立つ問題を出題します。今回はMESの標準指標である、ISO 22400に関連する問題となります。

問題(7)

IoT時代においては、生産指標の標準化は重要です。MES(Manufacturing Execution System)のKPI(key performance indicator)であるISO22400に関連する内容として最もあてはまらないものを1つ選びなさい。

  1. 国全体を1つの工場とすることを目指すドイツのIndustrie 4.0(インダストリー4.0)では、共通で使用できる生産指標としてISO 22400を推進している
  2. MES(Manufacturing Execution System)のKPIの国際標準であるISO 22400では、生産性/品質/能力/環境/在庫管理/保全の各領域で計34項目のKPIを定義している
  3. ISO 22400の目的は、AI(人工知能)ロボットを安全に利用するための指標を統一することである
  4. ドイツ、アメリカ、フランス、中国、日本などが標準化の取組みに参加し、ISO 22400が作成された

※本連載の設問が実際のIoT検定にそのまま出題されるわけではありません。

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