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3D CAD推進の成功は「プロジェクト組織」の在り方次第!?設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(6)(1/2 ページ)

設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。連載第6回では、「プロジェクト組織」の特徴やプロジェクトを推進する上での注意点について解説する。

» 2017年02月08日 09時00分 公開

 前回、プロジェクトを立ち上げる際に欠かせない、「プロジェクト企画書」の作り方について取り上げました。筆者の場合、“3D CADの推進”プロジェクトを社内で立ち上げるために、実際にプロジェクト企画書を作成しました。この企画書が経営層に認められれば、正式な業務として取り組みを始められるわけです。

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 プロジェクトは、「メンバー」「期間」「(おおむねの)コスト」を決めて開始されるわけですが、その次は何をすべきでしょうか? 少し整理して考えてみましょう。

振り返り:プロジェクト開始までの流れ 図1 振り返り:プロジェクト開始までの流れ

 抱えている「課題」は、環境ごとにさまざまだと思います。そうした課題から開始されるプロジェクトもあるでしょう。これまで筆者は、「既にある3D CADの運用方法の策定と、設計現場での3D CADの定着」といったものから、「全社で3D CADデータをフル活用する」といったものまで、さまざまなプロジェクトの立ち上げ・推進を経験してきました。後者のプロジェクトについて言えば、関ものづくり研究所の関伸一氏が提唱する「TPD(Total Product Development:全社的製品開発)」を実現すべく立ち上げたものといえます。

 実は、これには理由があります。筆者が初めて関氏に会ったのは、長野県テクノ財団主催の見学会で訪れた、静岡県浜松市にある大型カラープリンタの開発設計製造を行う会社でした。その会社では、3D CADで設計された3Dモデルの情報を基に部品を手配し、3D表示された指示書を見ながら1人で1台の大型プリンタを組み立てるという、いわゆる「デジタル屋台」と呼ばれる仕組みを実践していました。これが筆者とTPDとの出会いです。そこから筆者自身によるTPDへの取り組みがスタートし、「デジタルファクトリー構想」の実現に向けて動き出したのです。

「キックオフミーティング」でメンバーの足並みをそろえる

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