日立情報通信エンジニアリングが「状態予測エンジン」の販売を開始:装置の故障や危険行動を事前予測
日立情報通信エンジニアリングは、対象の状態を認識し、その先を予測するソフトウェア「状態予測エンジン」を販売開始した。製造装置の故障予測に基づいた先行対策や、人物の動きを予測して危険回避策を講じることが可能になるという。
日立情報通信エンジニアリングは2018年6月、対象の状態を認識し、その先を予測するソフトウェア「状態予測エンジン」の販売を開始した。製造装置の故障予測に基づいた先行対策や、人物の動きを予測して危険回避策を講じることが可能になる。価格は導入サービスも含め、個別見積もりによる。
◎「故障予知/予兆保全」関連記事 〜IoT・AI活用、導入事例、課題〜 など
» コニカミノルタが語る「故障予知からのビジネスモデル構築」その収穫と課題
» AIを活用した故障予知は課題も多く、緩やかなペースで進展
» AIによる予兆保全は2018年「成長期」へ
同製品は、学習用と識別用の2種類のエンジンで構成される。画像情報やセンサーデータ、パターン認識、経験則によって生成される識別辞書から、リアルタイムで先の状態を予測する。異常に至ると判断した場合、警告や対策案を提示する。また、監視カメラで車両や人物の動きを識別し、先の動作・進路予測から危険な予兆を捉えて回避策を講じるなど、事故防止を支援する。
独自開発のアルゴリズムを採用しており、深層学習で時系列パターンを学習し、動作モードごとの状態を自動で検出できる。正常状態からの逸脱を時系列で監視し、早期故障予測や予測精度向上に対応する。
ユースケースに応じた機能タイプが提供され、「ML識別」は、画像、音声、センサーデータなどの特定パターンの認識および識別を行う。「動き予測」は、対象物の動きや変化を分析して危険や障害を予測、移動を追跡する。「状態評価」では、分析機器やシステムの潜在的な内部状態遷移を予測し、故障や障害を未然に回避する。
ユーザーの環境やニーズに応じた柔軟なシステム構築が可能で、組み込み型は、市販の組み込みボードに搭載し、ユーザーの設備や機器へ内蔵できる。オンプレミス型は、PCサーバに搭載し、ユーザー拠点に設置し運用する。クラウド型は、クラウドサーバ上で実行し、ネットワークを介して処理結果を通知する。
端末に近いエッジ側に識別用エンジンを置き、大量のデータ分析のためにクラウド側へ学習用エンジンを置くといった分離搭載にも対応。リアルタイム性を追求し、効率の良いシステムを実現できる。定点観測や状態診断の場合は、両エンジンをクラウド側に構築することで、リソース管理や保守運営の負担を軽減できる。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» デンソーのAIプロジェクトが目指すもの
» 「組み込みAIチップ」が5年後には一般化するといえる、3つの理由
» 「組み込みAI」実現に向けた半導体ベンダーの施策
» 松原仁 教授講演「人工知能は未来をどう変えるのか」
» IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ユーザー負担を抑え、予知保全を実現できるIoT&AIシステム構築ソリューション
東京エレクトロン デバイス、金沢エンジニアリングシステムズ、ウイングアーク1stの3社は、生産設備の予知保全を実現する「IoT&AIシステム構築ソリューション」を開発し、提供を開始する。 - ISID、故障予知における“センサー設計の最適化”を支援する「MADe PHM」提供開始
電通国際情報サービス(ISID)は、PHM Technologyが手掛けるセンサーアーキテクチャ最適設計、検証ツール「MADe PHM」の取り扱いを開始した。 - AIを活用した故障予知は課題も多く、緩やかなペースで進展
矢野経済研究所は、設備機器ベンダー、プラント事業者、ITソリューションベンダーを対象に実施した「国内故障予知ソリューション動向に関する調査」の結果概要を発表した。 - 故障予知サービスに“使いながら育てる”プラントモデルが登場
安川情報システムは、複数の設備を組み合わせたプラントなどの施設向けに、同社が提供する故障予知サービス「MMPredict」のプラントモデルを開発し、提供を開始した。 - 故障予測アルゴリズムを活用した、生産設備の余寿命推定サービスを実現
日立パワーソリューションズは、生産設備の生産効率向上を支援する予兆診断ソリューションに、余寿命推定サービスを実現した予兆診断システム「HiPAMPS-PRO」を新たに追加。2017年12月1日から日本を含めたグローバル市場で提供を開始する。