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ソフトウェアテストの施策と運用(前編)――IoT時代を生き抜くテスト施策:IoTとAI、ビッグデータ時代のソフトウェアテスト(8)(3/6 ページ)
変化する時代の中で、ソフトウェアテストはどのようにあるべきか。変わらなくてはならないならば、どう変わるべきか。今回はこれらの質問に対する解として、「新時代のテスト施策」について考察する。
アジャイルソフトウェア開発のテストを変革する
アジャイルソフトウェア開発におけるソフトウェアテストの問題の1つに、テストファーストの弊害がある。これはテストケースが神聖化してしまい、テストケースの変更がしにくくなるという問題である。
要求を早期に確定するために作ったテストケースが神聖にして不可侵のものになり、ただテストをパスするためだけに、仕様やその実装だけを変更するようになる。もはや、テストケースのみのために生きるようになる。そして要求変更もテストケースの神前では許されない不敬行為となってしまう。まさに本末転倒である。
このようになる原因は、アジャイルで毎回実施する回帰テストのコストにある。回帰テストは毎回実施するので、効率化のために自動化する必要があり、人手を介することを避けなければならない。しかしこれが行き過ぎると自動化こそが主体になり、それを阻害するものは避けてしまうようになる。やがてテストケースは神聖不可侵なものになる(図2)。
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