これまで、私たちの暮らしや社会の在り方を変えてしまうような革新的な製品の多くは、技術力を持つ大手企業によって生み出されてきました。しかし、モノづくりの民主化やテクノロジーのオープン化、ユーザーニーズの多様化の流れが加速したことで、その役目がスタートアップやベンチャー企業にとって代わろうとしています。実際、これまで参入が困難だった自動車やロボット、宇宙開発といった分野で成果を出している(出し始めている)ベンチャー企業がいくつも誕生しています。
こうした動きに対して支援を行う企業も目立ち始めています。筆者が昨日取材したイベント「SOLIDWORKS World 2017」(開催地:米国カリフォルニア州ロサンゼルス)でも、主催者であるダッソー・システムズ(以下、ダッソー)から「3DEXPERIENCE Lab」の取り組みを拡大する発表が行われました。
3DEXPERIENCE Labとは、スタートアップやベンチャー企業が取り組むプロジェクトの実現をバックアップする制度のことで、投資条件をクリアしたプロジェクトに対して、ダッソーが提供する各種ツール群やノウハウをおしみなく提供し、一緒にイノベーティブなモノづくりを実現していくというものです。この支援制度がユニークなのは、ダッソーの一部組織がサポートするものではなく、プロジェクトに興味を持ったダッソーの社員が業務として自由にサポートできる点にあります。年間10件程度のプロジェクトを支援するそうで、既に3Dプリントで巨大な構造物を製造するための技術と素材の開発を手掛けるベンチャー企業などは一定の成果を出し始めているそうです。
このダッソーの取り組みはほんの一例で、今後、大企業がスタートアップやベンチャー企業をバックアップして(担いで?)、新しい発想をもった製品開発を二人三脚で取り組む動きも活発化していくことでしょう(少しこの話題とは異なるかもしれませんが、IT系企業や異業種がリアルなモノづくり、製造分野に新規参入するケースも増えていますし、製造業各社の競争は厳しくなるばかりですね)。
さて、近年のこのような流れを見ていると、大手企業自身は革新的なモノづくりを放棄したのか? と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。ただ、冒頭で挙げた変化のスピードに対して、大手企業なりの追い付く努力は不可欠といえるでしょう。
そうした中、具体的な取り組みに着手しはじめているのがパナソニックです。
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