「完全自動運転の障害物検知は人工知能が不可欠」北米トヨタチーフエンジニア:自動運転技術(2/2 ページ)
トヨタ自動車の北米市場における開発を担うトヨタテクニカルセンター。製品開発部門のCE(チーフエンジニア)に、北米市場での自動運転の動向について聞いた。
エムシティよりも広いテストコース、米国で計画中
トヨタ自動車は自動運転車の製品化について、2025年から2030年までに投入するという計画しか明らかにしていない。しかし、「自動運転で走行した距離の長さは、トヨタ自動車、Google、Volkswagenがトップレベルで競っている」とランド氏は説明した。
TRIは、トヨタテクニカルセンターからクルマで20分程のミシガン州アナーバーに3カ所目となる拠点を設けている。テクニカルセンターはTRIやミシガン大学と協力しながら北米地域での自動運転開発を統括しているという。
トヨタ自動車はミシガン大学のパートナー企業として、同大学が持つ市街地を模したテストコース「Mcity(エムシティ)」を活用している。「エムシティは小さな街なので、自動運転のクルマ同士がどのように行きかうことができるか、試すことができる。ただ、エムシティは(広域実験をするには)小さいので、政府は工場の跡地などを活用して、より広いテスト用の街を作ろうとしている。こうした広い環境があれば、より大規模な車車間通信の実験も容易になる」(同氏)。
北米では、営業/研究開発/本社機能の体制見直しが進んでいる。テクニカルセンターには、北米におけるトヨタ自動車の製品開発/調達機能が集約されつつある。現在、建屋を増設しており、購買部門や試作部門が同じ建屋で2017年から稼働する予定だ。
トヨタテクニカルセンターでは、自動運転の製品化に加えて、1社ではカバーしきれない事故防止の取り組みを研究するコラボレーション セーフティ リサーチセンターとの連携や、北米市場向けのSUVやピックアップトラックのフルモデルチェンジなども含めて、役割が大きく増しているという。
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