エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回はパッケージのリードタイムの長期化が深刻になっているという話題と、Armが中国子会社の経営権を奪回した件にフォーカスする。
2022年4月はあまり大きなお題はないが、小ネタをいくつかご紹介したい。
イギリスにSondrel Ltd.というASICのデザインサービスを手掛けている企業がある。既に創業20年になる、この業界では割と有名な企業(といっても会社規模はそれほど大きいわけではない)であるが、その同社は2022年4月6日のBlogエントリで、パッケージのリードタイムが50週以上になると警告を発した。
同社によれば、Covid-19流行の初期に、パッケージングハウスが注文キャンセルなどで大きな打撃を受け、スタッフを解雇したり、閉鎖せざるを得なくなったとし、これにより今後シリコンの生産が急増しても、新しい人材の雇用や育成、設備の増設や建屋の増築に時間が掛かるために増加に対応できず、結果として従来8〜9週間だったリードタイムが50週間以上になるとしている。
また設計におけるフローも変わった、という話だ。以前はテープアウトしたらそれを前工程向けのファウンダリに送り、約12週間ほどで完成したシリコンウェハを受け取る。これに先立ち、テープアウトとほぼ同時にパッケージング会社に予約を入れ、パッケージの詳細をパッケージングベンダーに送ることで、シリコンウェハの完成のタイミングで後工程の準備が完了するという流れであった。ところが現在は、テープアウトの20週以上前に、パッケージの予約を入れるとともに詳細をパッケージングベンダーに送付しないと、パッケージングが間に合わないとしている。つまりパッケージの予約を30週以上前に行わないといけないほどひっ迫しているという訳だ。
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