大原雄介のエレ・組み込みプレイバック【号外】
Arm買収、本当にできるの? NVIDIAの真意とは(1/2 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は2020年9月14日に飛び込んできた「SBGがArmをNVIDIAへ売却」というニュースに対しての考察を、号外としてお届けする。
2020年9月14日にSBG(ソフトバンクグループ)が、保有する英Arm Limitedの株式全数を米NVIDIAに400億ドルで売却する、というニュースは既にご存じの通り。取引の詳細はSBG側からの報道およびNVIDIA側からの報道に詳しいので割愛するとして、NVIDIA側の意向についてもう一段考察してみたい。
そもそも今回の発表は、SBGとNVIDIAとの間で売買契約が締結されたに過ぎず、実際には米国・英国・EUおよび中国の監査当局による承認が必要とされる。問題はこれが承認されるか? という話である。
このところ、巨額のM&Aは必ずしも成立するとは限らない。例えばQualcommによるNXPの買収は中国の承認が下りずに断念した。そのQualcommを買収しようとしたBroadcomは、最終的に大統領令が出て買収を断念している。
今回でいえば、既に中国共産党の機関紙であるGlobal Timesが、中国当局が買収を認可しない可能性について言及している。英国でいえば、Armの創業者であるHermann Hauser氏とTudor Brown氏がこの買収に反対し、英国政府に買収を認めない様に働きかけていくというニュースをBBCが報じている。
ただむしろ筆者からすると、焦点は米国の司法省だと思う。
これは想像だが、既に多くの「NVIDIAと競合関係にあり、Armのライセンシー」である半導体メーカーが、司法省にこの買収を認可しないように上申書をしたためている最中だと思う。恐らく今後、大ロビー活動が始まるであろうことは疑う余地がない。理由は簡単で、こうしたライセンシーのビジネスをNVIDIAが奪うことが明白だからだ。
通常こうした買収案件の場合、買収する側はあまり刺激的なことは言わない。実際今回もArmのHQはケンブリッジに残すし、IPのライセンシングポリシーの中立性は保つし、新たにAI研究拠点を設立するといった甘い言葉を並べているが、その合間に
NVIDIA will bring our world-leading AI technology to Arm's ecosystem while expanding NVIDIA’s developer reach from 2 million to more than 15 million software programmers.
なんて文章を挟んでしまう(※1)あたりが流石Jensen Huang(NVIDIA創業者兼CEO)である。要するに、ArmのIPライセンシーにCUDAを使わせることを目論んでいるという話だ。
(※1) NVIDIA Blogの“Letter From Jensen: Creating a Premier Company for the Age of AI”
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
3
ものづくり白書2026を読み解く
-
4
ChatGPT Enterprise活用ガイド:業務時間を1万7600時間削減したMIXIの事例も
-
5
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
6
AI×DXで効率化する設備保全まとめ
-
7
「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは?
-
8
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
9
脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣
-
10
動き出したファナックの「フィジカルAI」
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー