エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2020年2月の業界動向の振り返りとして、エンドポイントAIの動向について、Embedded World 2020で展示予定だったと思われる2つの製品をコアにお届けする。
ご存じの通り、2019年12月に最初の症例が確認されたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、瞬く間に全世界に波及。IT業界だけをとっても、まず2020年2月24日からバロセロナで開催予定だったMWC 2020が中止。同時期にニュルンベルクで開催されたEmbedded World 2020は、主要な出展企業が軒並みキャンセルした結果、まるで休憩スペースの展示会と化していた。3月に入るとOCP Global Summitキャンセル、GDC延期、GTCとCoolChipsはWebで開催といった具合に次々と展示会の類がキャンセルされており、加えて特に中国の製造拠点の休止や勤務形態の見直しなどもあって、いろいろ影響が出まくっている。そうした事もあり、2月後半は各社ともほとんどCOVID-19対策で精いっぱいといった感じで、あまり振り返りネタもないのであるが、恐らくはこのEmbedded World 2020でも展示予定だったと思われる2つの製品をコアに「エンドポイントAIの動向」をご紹介したいと思う。
エンドポイントAIという用語はつい最近Armが発明(?)したものである。エンドポイント/エッジ/クラウドというIoTを構成する3要素があるが、当初はエンドポイントからゲートウェイ経由でクラウドにデータを集め、ここでAIを利用して推論を行うという話が、ゲートウェイの代わりにエッジを入れ、ここで推論処理を行おうという話にここ1〜2年なってきている。ただその先に、エンドポイント上で推論処理を行わせるトレンドが必ず来る、というのがArmの主張である。これを指してエンドポイントAIと呼んでいる訳であるが、この名称はともかくとしてエンドポイントにAI処理までやらせよう、という話はかなり昔からあった。Arm自身、2018年のCOMPUTEX TAIPEIではCortex-M7のDSPを利用した画像認識ソリューションをデモしている(図1)。
まだこの当時は“エンドポイントAI”的な言葉がなかったので、“ML at the edge on constrained IoT devices”なんていう長い名称になっているが、まあエンドポイントデバイス上で推論を行わせるというニーズがあった、というよりは「そうしたニーズがあれば応えられる」というのが当時のスタンスであったと記憶している。
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