大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
あのCEOは今/MIPS ISAのオープン化とその前途/IIoTは難しい……GEの苦悩(2/2 ページ)
GE、お前もか……
別の連載で恐縮だが、2018年10月に「IoTから脱落した巨人インテルの蹉跌(さてつ)、かくもIoTビジネスは難しい」という記事を掲載した。この動きに追従した(?)のが産業界の巨人、GEである。
GEは2015年、情報関連部門を独立子会社であるGE Digitalに集約した。要するにIIoT(インダストリアルIoT)領域を狙うために、各部門で個別に対応するよりも、一か所に集約して行った方が効果は大きい、という判断である。そのGE Digitalの武器となるのが「Predix」である。Predixに関する記事は多数あるが、例えばこの記事などが分かりやすいかと思う。
GEはこのPredixの普及に向けて、「Industrial Internet Consortium(以下、IIC)」という団体を作ったり、NECと包括的な契約を結んだりと随分頑張ったにもかかわらず、思ったように普及しなかった。
それもあって、例えば2016年11月にはPTCと協業を発表しているわけだが、売り上げは芳しくなかった。そうした状況の中、2018年7月ごろから“GE Digitalの身売り”の観測が出始めていた(例えば、The Wall Street Journalのこちらの記事)が、2018年12月13日にGE Digital傘下のServiceMaxをSilver Lake Partnersに売却することを発表した。
もともとServiceMaxは2016年にGE Digitalが買収したクラウドベースのFMS(Field Service Management)ソリューションを提供するメーカーで、GE DigitalはこれとPredixを組み合わせてサービスを提供していたわけだが、今回のServiceMax売却に併せてPredixを手掛けるGE Digitalの分社化も行うこととなった。そして、これまでGE Digitalで指揮をとってきたWilliam Ruh氏もGE Digitalを辞任した。
要するに、IIoTの分野でPredixを武器にイニシアチブを取ろう、というGEの野望が完全に砕かれたわけだ。今後、GE Digitalがどういう方向に向かうのかはまだはっきりと示されていないが、GEですらIIoTでイニシアチブを取れなかった、という事実はIoTの難しさをあらためて突き付けてくれた、ということになるだろう。今回の出来事は、2018年を締めくくる象徴的なニュースだったと筆者は思う。
◎併せて読みたいお薦めホワイトペーパー:
» 電気設計の現場で深刻化する技術伝承、ツールの重大性も増大
» 「組み込みAIチップ」が5年後には一般化するといえる、3つの理由
» 電子部品の筋肉「パワー半導体」の基礎知識
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
ものづくり白書2026を読み解く
-
2
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
3
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
4
プリント基板設計の課題を乗り越えた成功事例集
-
5
Waymoの自動運転技術に迫る
-
6
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
7
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
8
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
9
動き出したファナックの「フィジカルAI」
-
10
生産に関する知識の習得だけではNG? ものづくり人材を体系的に育成する秘訣
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー